【調査・診断の実施に際して】
以下は、事前に管理組合側で取り組むべき事項となります。
1 調査・診断の必要性
大規模修繕工事を成功に導く鍵の一つは、当然のことながら、大多数の区分所有者の間で工事の実施について賛成の合意形成がなされることです。賛同を得やすくするポイントは、なぜ工事に着手しなければならないかを、分かりやすく十分に説明できるかという点に尽きるでしょう。
建物や設備の本格的な調査・診断を行う理由は、直接的には修繕の要否の判定ですが、間接的には「だから大規模修繕工事を行う必要があるのです」という提案理由を裏付ける根拠となる点にあるといえます。
2 どのように任せるか
調査・診断の目的は、あくまでも大規模修繕工事が必要か否かを判断することにあるのですから、建物や設備の現状をつぶさに観察すると共に、過去の修繕履歴などを調べることも仕事の一つとなります。したがって、発注者の立場である管理組合としても、ただ任せきりにすれば済むというわけにはいきません。
建物の図面や修繕記録などの資料を事前に整理しておくだけでも、調査者の手間をかなり省くことが出来ます。また、現にその建物に生活している居住者の目から見た建物や設備の不具合についての意見も、調査者が建物の弱点を探る際の大きな参考となります。
そこで、あらかじめ発注者(管理組合)と調査者が調査の内容や方法についてよく打合せておくことが肝要で、その時点で居住者アンケートや各住戸への入室調査が必要かどうかの詰めを行います。
(注)下線部は、こちら側で記載。