【外壁改修工事の内容とポイント】
外壁コンクリート躯体、仕上げ材の劣化部分の改修が主体となる。
1 コンクリート躯体改修
劣化現象としては、ひび割れ、欠損、鉄筋腐食と露出現象が挙げられる。特に、
ひび割れは一般的な劣化現象で、その原因はコンクリートの乾燥収縮、温度変化
による膨張伸縮、地震時の応力集中等であるが、躯体不具合の改修法では、以下
のような工法がある。
① ひび割れ
フィラー処理(注1)、Uカット処理(注2)があるが、構造耐力上補強を要
するものは、エポキシ樹脂注入工法で躯体との一体化を図る。
② コンクリートの欠損・鉄筋腐食と露出現象
欠損は鉄筋発錆による押出し、地震時の変形等により発生する。特に鉄筋露出
現象は、コンクリートの鉄筋に対するかぶり厚不足により発生するもの。劣化部
分を除去しアルカリ付与剤を塗布浸透させた上で、ポリマーセメントモルタル等
で修復する。
(注1)ひび割れの中にフィラー(微弾性下地調整剤)を充填すること。
(注2)ひび割れ部分をU字型にカットして、弾性シーリング材などを充填する
こと。
2 タイル仕上げ改修
劣化現象としては、タイルにひび割れ・浮き、剥がれ等がある。外壁がタイル
仕上げのものは、現在、法律に定める『特殊建築物定期検査』で、新築時(又は
改修時)より10年を経たものは、最初の調査の際に『全面打診』等が義務付け
られている。タイルの浮き等は経年劣化によるものと、建設時の施工に問題があ
るものがある。改修法は以下の内容である。
① 不具合・劣化箇所のタイルの張替え
修繕方法としては、基本的には張替えが望まれるが、このためタイルは新たに
釜焼きが必要となる。また、目地のモルタルの色調にも注意が必要。
② タイルのひび割れ
下地コンクリート(又はモルタル)のひび割れに起因するものが多く、タイル
は剥がし、コンクリート躯体のひび割れを補修後、タイル張替えとなる。
③ 張替え以外の工法
一般的にはタイル浮き箇所の目地の交点を穿孔し、浮きの空隙にエポキシ樹脂
を充填し、ステンレスピンを挿入するピン注入工法や、エポキシ樹脂を注入する
アンカーピン注入工法等が採用される。
3 塗装仕上げ改修
外壁に用いられる塗料(外壁塗料)は、コンクリート躯体の保護と、建物美観の
保持の二つの役割がある。塗材の変化は、自然現象の影響による退色、汚れや剥が
れ、膨れとして現れる。一般的に外壁の塗替えは、既存塗膜の上に新たな塗材を塗
り重ねる工法で、この際に既存塗膜の付着強度が問題となる。一定の強度があれば
重ね塗り、ない場合は脆弱塗膜を除去し塗替えとなる。外壁塗材の改修は、以下の
手順で行われる。
① 汚れ、脆弱塗膜の除去
一定圧力の高圧水洗浄機により壁面を洗浄、塗膜除去を行う。
② 下地調整剤+主材
近年では既存塗膜の付着性、下地調整の省力化、仕上層(トップコート)の
選択幅などから、『微弾性下地調整材』が下塗を兼ねた主材として採用するも
のが多い。
③ 仕上げ塗料(トップコート)
塗材の色彩や光沢の度合いは、塗材の表層に施されるトップコートにより決
められるが、塗料を構成する樹脂成分により様々な種類のものがある。コスト
バランスとの観点から検討する。