1 大臣認定工法とは
建築基準法68条の10に規定されている『形式適合認定』のことをいう。実験デー
タなどをもとに、ある特定の工法について、その構造上の安全性や、材料の防火性能、
遮音性能、有害物質放散量などが各種法規制に適合していることを認定するものです。
本来、建築物は、その安全性を担保するために法令に則った材料、工法で建てなけれ
ばならない。しかしながら、大手ハウスメーカーなどは、効率的に住宅を建設するため
に独自の工法を採る場合もあり、この場合、建物の安全性能を担保すべく、事前に国土
交通大臣の認定を受けることが必要となる。プレハブ工法も広く採られている工法です
が、大臣認定工法の一つとなっている。したがって、大臣認定工法は、認定どおりに施
工された場合においては、安全性が検証されているが、認定どおりの施工がされていな
いときは、安全性が検証されているとはいえない。
以上により、認定工法が採られた建物の場合、まずはその工法に沿った施工がされて
いるか否かを検討することが必要となる。
2 大臣認定工法は安全か
大臣認定工法は、認定どおりに施工されて初めて安全性が担保される。したがって、
認定工法から外れた施工がされた場合、構造躯体の安全性は検証されていないことに
なるので、原則として、瑕疵に当たると考えられる。
3 参考となる判例
(札幌地裁平成13年1月29日判決)
「公庫仕様と異なる施工がなされた場合に、売主に当該施工が公庫仕様の施工と同等
あるいはそれ以上の構造安全性を有するとの立証責任を課した。」
【管理組合へのアドバイス】
マンションの柱・梁のスラブに関する瑕疵は、不具合現象が生じてから壁、クロスや石
膏ボード等を剥がして調査して、はじめて顕在化するのが通常です。
管理組合としては、構造安全上重大な瑕疵に相当する場合も多く、専門家にマンション
の設計図書等を参考にして、詳細に調査してもらったうえ、補修方法を検討する必要が
あるだろう。
*住宅建築トラブル相談ハンドブック(新日本法規)より