【建物の瑕疵担保責任】
3 購入後5年経ってから不具合が現れた場合
(1)売主に対する請求
① 瑕疵担保責任の期間制限
雨漏りがするというのであれば、当然瑕疵に当たるといえるので、売主に対しては瑕疵担保
責任を問うことができる。
ただし、瑕疵担保責任の追及には期間制限があり、売買契約の場合、買主が瑕疵を知ってか
ら1年以内に行使する必要がある(民法570条、566条3項)。
もっとも、この期間内に訴えの提起までする必要はなく、裁判外であっても瑕疵修補や損害
賠償の請求など瑕疵担保責任を問う意思を明確にしていれば足りる(最判平成4年10月
20日)。
② 新築マンションの場合
品確法(注)が施行された平成12年4月1日以降に請負契約が締結された場合、構造耐力
上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として政令で定められたものの瑕疵については
同法が適用され、瑕疵担保期間は10年間となる(品確法94条)。したがって、雨漏り等
これに該当する瑕疵の場合は、建物引渡しから10年間は、瑕疵担保責任を追及することが
できる。
(注)品確法:住宅の品質確保の促進等に関する法律
(参考)先月報道された『横浜の欠陥マンション』についても、構造耐力上主要な部分である
基礎構造部に関する瑕疵に相当するため、品確法の適用対象に該当するだろう。
③ 契約に基づく保証
契約内容に、アフターサービス等の保証が定められている場合、これらに従った瑕疵修補の
請求や損害賠償請求が可能となる。
(2)施工者等に対する請求
その1で述べたとおり、契約関係にない施工者等に対しても、建物に基本的な安全性を損な
う瑕疵がある場合には、損害賠償請求ができる。
【管理組合へのアドバイス】
瑕疵には経年変化があるので、日付の表記された記録写真を撮影して証拠を残しておくことが必要
(注)です。同じマンションの住民に同様の不具合があるか否かを聞いてみることも有効です。売主
にも現状を確認してもらい、修復が可能か確かめることも必要です。
また、躯体等の共用部分に関わる瑕疵の場合は、個別で対応することは避け、管理組合の代表として
定められた者(理事会の役員)が対応する必要がある。
(注)民法709条に基づく不法行為責任による損害賠償請求を提訴する場合、買主側にその立証責任
が求められる。
*「住宅建築トラブル相談ハンドブック」(新日本法規)より