【認知症の国家戦略】
当事者の視点不可欠
徘徊による行方不明問題など、認知症による国民生活への影響が顕在化する中、安倍晋三首相が6日、『国家戦略』をつくる方針を打ち出した。国際会議を機に、国民の関心が高い認知症問題に積極的に取り組み姿勢を示すのが狙いだが、策定作業は年末まで2カ月足らずの突貫工事となる。海外の専門家からは、当事者視点の欠如など日本の弱点克服に注文がついた。
『私は本日ここで、認知症施策を加速するための新たな戦略を策定するよう、厚生労働省に指示します』と、安倍首相は自らのリーダーシップを演出した。
省庁の壁
認知症の人の支援は生活全般にわたり、例えば行方不明者の捜索では警察庁、認知症ケアへのロボット採用では経済産業省の協力が必要となる。このため、欧米諸国の例にならって、省庁の壁を超えた国家戦略を定めるべきとの声が上がっていた。
精神科に入院
欧米では老人ホームや在宅でケアするのが常識で、精神科に入院する認知症患者が2011年現在、約5万3千人に上る日本の状況は国際的には特異だ。