建て替えに19年 会合70回 マンション60年(下その1)/朝日新聞

 東京都新宿区の静かな住宅地にあるマンション(1957年建築、4階建て、12戸)では、構想から17年、区分所有者らによる約70回の会合を経て建て替えが実現した。

 住民には高齢者や賃借人が多く、管理組合もなかったが、「このままでは立ちゆかなくなる」と2007年に経費の管理を外部委託し、管理組合がようやく設立した。

 その後、建て替えを支援しているNPO法人を知り、支援を頼んだ。 耐震補強には6千万~8千万円かかり、今後の修繕と合わせると、各戸1千万円の負担が必要になるという試算が出たが、会合を重ねるうち、住民らは「どうせお金を払うなら建て替えた方が良い」という考えに傾いたという。

 10年6月に建て替え決議をする総会にこぎつけ、反対は2人にとどまり決議が成立した。反対した人には売り渡し請求もできるが、決議後も説得を続けた結果、いずれも最終的に賛成へと転じた。

 マンション建て替え円滑化法の手続きでは、所有者らが建て替え組合を作り、土地・建物の権利を手放すことなく移転する。しかし住民らはそれによらず、開発業者に土地を売り、新しい住戸を建築後に買う方式をとった。 その方が早く手続きを進められると判断した。

 規制等による制限もあったが、5階建て16戸のマンションが完成した。区分所有者は平均約2800万円の差額を負担して、2年前に入居した。

 「専門知識を持つ第三者に入ってもらい、改修と建て替えのよしあしを冷静に比べて判断することができた」と、「いつ巨大地震が来るかわからない中、安心して老後を暮せる」と、住民は話す。

2014年3月07日 | カテゴリー その他