分譲マンションに瑕疵がある場合その1

【建物の瑕疵担保責任】

1 瑕疵とは何か

  瑕疵とは、本来あるべき要件や性質を備えていないことを指す。

  建物の瑕疵の判断基準については、裁判上、

 ① 建築基準法等の法令の規定の要件を満たしているか

 ② 当事者が契約で定めた内容、具体的には設計図書に定められた内容を満たしているか

 ③ ②に含まれる問題ではあるが、住宅金融支援機構融資を受けることを予定した建築物において、

  公庫融資基準(住宅工事仕様書)を満たしているか

 ④ 以上のいずれにもあたらないが、我が国の現在の標準的な技術水準を満たしているか

  などの基準で判断されている。

2 責任追及の対象

 (1)売主に対する請求

    売主に対する請求としては、売買契約に基づく瑕疵担保責任の追及として、以下の請求が

   できる(民法566条、570条)。

   ① 契約の解除

     瑕疵があることによって契約の目的を達成できない、つまり住居として用いることができな

    いほど瑕疵がひどい場合は、契約解除ができ、売主に対して売買代金の返還を求め、買主は、

    土地・建物を返還することとなる。

   ② 損害賠償

     契約の目的が達成できないほどまでとはいえない場合は、損害賠償請求のみが可能となる。

    この場合、具体的には補修工事に要する金額を請求することになる。

   ③ 瑕疵修補請求の可否

     売買契約における瑕疵担保責任としては、瑕疵修補請求権は認められないとされている。

    ただ、売買契約上保証期間を定めて瑕疵修補請求が定められている場合も多いので、この

    場合は、契約に基づき瑕疵修補請求が可能である。

 (注)上記①、②については、民法566条3項の規定に基づき、『買主がその事実を知った時から

    1年以内に請求しなければならない』とされている。

 (2)設計者、施工者、監理者(設計者等)に対する請求

    売主の倒産等の理由で売主に対する瑕疵担保責任の追及ができない場合、設計者等に対して

   請求することとなる。

    マンションを購入した場合、購入者と設計者等との間に直接契約関係がない場合、瑕疵担保

   責任を問うことはできないが、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が考えられる。

   (最高裁平成19年7月6日判決)

   「建物の設計者、施工者及び工事監理者は、契約に関係にない居住者等(建物利用者、隣人、

    通行人等)に対する関係でも、建物としての基本的な安全性が欠けることがないように

    配慮すべき注意義務を負い、この義務違反による瑕疵が原因で生命、身体又は財産を侵害

    された居住者等に対して、特段の事情がない限り、不法行為による賠償責任を負う。居住者等

    が当該建物の建築主からその譲渡を受けた者であっても異なるところはない。」

    このように、建物として基本的な安全性が欠けており、その点につき故意又は過失がある場合

   には、契約関係のない設計者・施行者・監理者に対する不法行為が認められることとなった。

    なお、直近の最高裁判決では、さらに『基本的な安全性』について、次のように述べている。

   (最高裁平成23年7月21日判決)

   「『建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵』には、放置するといずれは居住者等の生命、

    身体又は財産に対する危険が現実化することになる瑕疵も含まれる

    と、一歩踏み込んでいる。

 

*「住宅建築トラブル相談ハンドブック」(新日本法規)より

 

2014年7月11日 | カテゴリー 豆知識