はじめに
マンションの資産価値の低下の本質的な原因は、区分所有者がマンション管理に無関心であることが大きいのですが、居住者の高齢化が影響して管理組合が機能しなくなっている場合もあります。高齢化社会は、マンションの管理問題にも影を落としています。
少子高齢化が進行し、居住者の連帯意識の希薄化が指摘される状況の中で、大切な資産であるマンションが管理不全に陥らないようにするには何が大切となるのでしょうか。
コミュニティで左右されるマンション管理
マンション管理の業務内容には、建物の維持管理だけでなく、管理組合の運営管理や居住者の生活管理など多面的な側面があります。建物の経年劣化や居住者の高齢化に伴い、役員のなり手不足、居室の空室化や賃貸化など管理運営に支障となる課題も山積みです。住宅宿泊事業法が成立したことで、いわゆる「民泊」に対しての対応も新たな課題となってきています。実は、こうしたマンション管理には運営主体となるコミュニティの形成状況が大きく影響してきます。コミュニティ形成が十分でないと管理会社まかせになってしまい、いざ深刻な問題に対面した時に迅速な対応ができない恐れもあります。
そのため、昨年3月には国土交通省から新たな住生活基本計画(全国計画)が公表され、「住宅地の魅力の維持・向上」の目標を達成するため基本的な政策の1つとして「マンションのコミュニティ活動が居住者、管理組合、周辺住民、民間事業者、地方公共団体等の適切な役割分担の下に積極的に行われるよう推進していく」ことが明記されました。
(著)京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 教授 鈴木 克彦
岡管連から
岡管連では、『マンションの二つの老い』の大きな要因として、時の経過とともに以下の『五大化現象』が現れてくるものと考えています。
一 建物の劣化
二 設備の老朽化(陳腐化)
三 居住者の高齢化
四 居室の賃貸化(空室化)
五 人間関係の希薄化