【分譲マンションでは互助機能を生かし
セーフティネットの構築を】
高齢単身者の増加に対して、住宅分野では長く安心して住み続けられる環境を整備することが必要になる。バリアフリー化などハード面での対策も必須であるが、それ以上に重要なのはソフト面での取り組みである。
内閣府の調査によれば、『病気の時などに頼れる人がいない』と回答した割合は高齢者全体では2%に過ぎないが、男性単身者では20%にものぼる。孤立化のリスクが高い高齢者に対しては、周囲からの積極的な見守りや支援体制が一層求められる。
集合住宅(持家・借家)の場合、集住という形態を活かすことで、高齢者の見守り支援や安否確認、引きこもり防止、災害時の救護など幾重ものセーフティネットを張ることができる。これらを実現するためには、分譲マンションでは第一に居住者同士の互助が不可欠となる。災害時などに要援護者となりやすい高齢者の安否確認や避難支援を迅速に行うためには、日頃からのコミュニティ運営が重要だが、そのためにも管理組合・自治会の組織や役割をどのように設定するかなど、個々のマンションが状況に応じた体制を構築することがポイントになる。
加えて、管理会社やデベロッパーとしても、居住者の高齢化が顕在化し、孤立死や災害時の被害拡大などの深刻な事態を招くのを防ぐために、早くから管理組合活動を支援する取り組みや、自治会機能の維持・向上に資する対策を打っておくことが求められる。
(2035年の65歳以上の単身世帯の動向/資料データーから)
2010年を100とした指数 65歳以上の単身世帯数
・岡山県 約134.5 約106,600世帯
・広島県 約141 約186,600世帯
・香川県 約134 約60,000世帯
・全国平均 153
(著)株式会社長谷工総合研究所 上席主任研究員 上村 直子
(注)カッコ書き及び下線は、こちら側で記載
(岡管連から)
マンションの高齢化は、岡管連がテーマとして取り上げています『マンションの二つの老い』の問題であり、居住部分の『ハード面』と生活部分の『ソフト面』に顕著に現れてきます。さらにマンションの場合、居住部分については、『共用部分』と『専有部分』とに分かれます。
マンションの高齢区分所有者が施設等に入居した場合、マンションの管理(賃貸を含む)・処分という問題も出てきます。そのような場合、『成年後見制度の利用』なども考慮していく必要が出てきます。