【公助の手 孤独死防げ】
著しい単身高齢化で、人口減社会の未来像ともいえる公営住宅。支援を必要とする人たちにとっての『住まいのセーフティーネット』として重要性が高まる一方、孤独死が相次いでいる。地域の力で対処できるのか。行政の対策強化が急務だと訴える専門家もいる。
『こんにちは。訪問調査でお伺いしたのですが』
67棟ある5階建てを訪ね歩き、家族構成、近所づきあい、持病・・・。A4判で4枚の質問を聞き取る。認知症や引きこもりなどの兆候がないかも記入する。3年間で全戸訪問を終える予定という。
しかし、11月末時点で673世帯を調査した一方、拒否が154世帯、3度以上尋ねても留守が781世帯。『周りとのつながりを拒み、訪問を拒む人ほど、孤独死への懸念が高まる』とケアプラザの所長は指摘する。
【共助の柱 しぼむ自治会】
自治を担う住民にとっても、悩みは深い。
名古屋市営住宅では20年計画で建て替え工事が進む一方で、『自治会活動は縮小の方向』と自治会長は言う。
市によると、高齢者の単身世帯と、高齢夫婦の世帯が43%を占める。棟ごとの役員の定数は、高齢者が多くて選出できなくなり、11人から7人に減らした。それでも新たな成り手はなかなか見つからない。
14棟に約500世帯が暮らす長崎県のある公営住宅。棟ごとの自治会脱会が相次いでいる。『高齢化が進み、棟から役員を出せない』と、8棟が住民の話し合いで脱会を決めた。
自治会長は『災害時を考えると、地域は自分たちで守りたいが、手の打ちようがない』とこぼす。
自治会活動という『共助』は細るなか、単身高齢化に伴い、今後も支援が必要な人は増えていく。
(岡管連から)
今のマンションは、セキュリティ強化が図られ、行政側からの支援が届きにくくなっています。さらに区分所有者の高齢化に伴い、管理組合の役員の成り手が今後問題になってくると予想されます。
また、管理組合によっては、地域の町内会から脱退し、周り(社会)との関係を自ら閉ざしているというところもあります。
マンションの『二つの老い』という問題を放置して時が過ぎていくと、いずれマンション(住居/生活の場)の存立自体に危惧が生じるのではないか・・・『マンションのスラム化』がクローズアップされるのではないだろうか。