3 土地の市場価値の二極分化
よく考えてみると、市場価値の高い地区の場合、相続人がいな
いケースを除いて空き家が発生する可能性は低いと考えられる。
つまり、空き家が発生するのは、市場価値が低い地区などに限ら
れると考えることができる。
マンションに限って言えば、いくら市場価値の高い地区であっ
ても、区分所有者等がマンションの管理に無関心で、かつ、管理
組合がその管理を管理業者に任せっきりで、総会・理事会が形骸
化していて、問題が起きていても対応できないようなマンション
も空き家(室)が発生する要因でもあろう。
相続人がいない場合を除いて、空き家の発生は、住人なり相続
人がより利便性の高い地域へ移住した結果であると考えられ、都
市部であっても土地の市場価値が低い地域では、空き家が増加す
ることが考えられ、マンションの場合、経年による『建物の劣
化』、『設備の老朽化・陳腐化』、加えて『賃貸化』などへの対
応ができていないマンションは、さらに『空き室』に拍車を掛け
るであろう。
(注)下線部は、こちら側が記載。
4 市場メカニズムを利用した対策
空き家を生み出さない対策としては、前回で述べたように
・行政(公権力)による強制(空き家条例等)
・マッチングの改善(空き家バンク)
などが考えられる。
なお、税による経済的なインセンティブを用いた方策も考えら
れるが、前に進んでいない。よく知られている固定資産税がそう
で、土地に建物がある場合とない場合とでは税金が違ってくる。
つまり、老朽化した家屋を解体して更地にしようとすると、解体
費用ばかりでなく、より高い固定資産税の負担に直面することに
なる。これにより、更地化が進まず、危険な家屋が残されるとい
うことになってします。それでは、固定資産税の税率を特例で低
くということが考えられるが、従来の更地と解体後の更地との税
の公平・バランス、税の減免による自治体の税の減収等で、ネッ
クになっている。
5 最後に
今後も放置される空き家(マンション)が問題となり続ける
が、空き家対策が進み、更地化が進行していけば、それはそれ
で各地域の総更地化が進行するという経済面にとってもマイナ
スではあるが、人口減少の側面から見ても、この更地化は避け
ては通れず、将来を見据えた高い見地から、『日本の国土・
インフラの維持管理』をどう保全していくか、そろそろ考える
時期に来ているようである。
(注)下線部は、こちら側で記載。