【防災・防犯 高まる不安】
―固定資産税負担増も一因―
全国の住宅ほぼ7戸につき1戸が空き家になっている状態(『家余り現象』)が29日、総務省の調査で浮かび上がった。人口減少が進む地方だけでなく都市部でも状況は深刻化し、防災・防犯面で不安を募らせる住民からは、対策を求める声が高まっている。背景には住宅の供給過剰を招いた政策があり、取り壊して空き地にすると固定資産税の負担が増える税制も一因だ。
(都市部の問題)
空き家が増える理由は、地方と都市部で違う面もある。地方では、子どもが都市部に移り住み、相続した家の管理が行き届かなくなるのが典型例だ。人口減少がこのサイクルに拍車を掛けている。
空き家問題に詳しい住宅ジャーナリストによれば、「都市部は地価が高く、特例の恩恵をより強く感じる。『使い道はないが、とりあえず空き家に』と考える人が多くなる」と指摘する。
(入居促す対策を)
国土交通省は、所有者が空き家を賃貸に出しやすいように、賃料を安くする替わりに借り主に自費でのリフォームを求める手法を不動産業者らに勧めている。富士通総研の主任研究員は『空き家を含む中古住宅を重視し、もっと活用すべきだ』と指摘。民間住宅の空き家に家賃補助し、入居を促す対策を提案した。