【はじめに】
福岡市には、平成25年住宅・土地統計調査によると、居住のある住宅約74万5千戸のうち共同住宅は約57万8千戸あり、共同住宅率78%は政令市の中で最も高く、そのうち分譲マンションが約13万2千戸で18%を占めており、本市の主要な居住形態の一つとなっている。
一方で、築30年以上の高経年マンションが約4万2千戸あり、今後もさらに増加すると考えている。
マンションを適切に管理運営し、老朽化に備えた計画的な改修を行わなければ、居住者の安全性や居住性が損なわれるだけでなく、居住環境にも大きな影響を及ぼす恐れがあり、特に高経年マンションでは、居住者の高齢化が進行し、耐震性やバリアフリー性に劣っているなど様々な課題を抱えており、適切な維持管理が求められている、
【福岡市のマンション施策】
1 福岡市マンション管理支援機構
分譲マンションの管理組合が自立的な運営による適切な維持管理を行い、長寿命化や周辺地域も含めて
良好な居住環境を確保するため、平成16年に公的団体、マンション関連団体、専門家団体等とで構成する
『福岡市マンション管理支援機構』を設立した。
ここでは、分譲マンションに関する問題や課題の把握、改善策や支援策の検討をはじめ、マンション管理
に関する手引の作成やセミナーの企画などを行っている。
2 マンション管理基礎セミナー等の開催
年2回セミナーを開催し、あわせてマンション管理無料相談会も実施している。
3 専門家派遣支援
マンション管理組合へ専門家を派遣し、相談に応じている。
4 マンション管理規約適正性診断
マンション管理組合の現行規約について、国土交通省が定める標準管理規約や区分所有法に照らすなど
して適正さを診断し、管理組合の現状に応じたアドバイスを行っている。
5 住宅相談・マンション管理相談
住宅相談コーナーを常設し、また、マンション管理などの専門的な相談にも対応する特別相談も実施
している。
6 冊子・HP等による情報提供
マンション関連団体等と連携し、マンション居住者向けに、マンションの管理組合運営や維持管理等に
ついての手引きを作成し、無料で配布している。
また、福岡市ホームページ内に、『福岡市すまいのインフォメーション』を設け、マンション関連情報
をはじめとする、住まいに関する情報を提供している。
7 共同住宅の耐震化支援事業
耐震診断及び改修を促し、耐震性・安全性を高めるための費用の一部を助成する制度を実施している。
8 共同住宅の耐震化に関する出前講座
地震に対する備えが必要という意識を啓発するため、共同住宅の耐震化に関する出前講座を実施
している。
(著)福岡市住宅都市局住宅部住宅計画課長 柴田 桂