時給を上げても管理人が集まらない
住不建物が今、住民からの批判を覚悟でマンション選別に踏み切った背景には、マンション管理業界が直面する深刻な人手不足問題がある。
問題は管理人や清掃員の数が追い付かないこと。数年前まで都内中心部で1000円以下だった管理人の時給は、今や1200~1300円まで上昇。それでも以前ほどは集まらない。
マンション管理業界が転機を迎えたのは、大手企業が相次いで定年を延長、再雇用を打ち出してからだ。管理人も清掃員も定年後の第2の仕事という側面があった。だが、こうした定年延長の結果、そもそも雇用市場に人材が流入しない。
管理会社も手をこまねいていたわけではない。定年延長や時短など、考えられる手は打ってきた。
ただ、こうした定年延長はあくまで対処療法に過ぎない。渦中にある住不建物の幹部は、「人材難は今後も好転しない。問題の根が深くならないうちに抜本的な対策を打たないと、いずれは日常の管理業務に大きな支障が出る」と断言する。そのための背策が戦線の整理というわけだ。