1 はじめに―ガバナンス不全の現状
高度成長期の頃より大量に供給されてきたマンションは経年に伴い老朽化し、計画的な大規模修繕、耐震性不足による耐震補強、マンションの建替えなど、専門的知識と多額の資金を必要とする難題に直面しつつあります。同時に、区分所有者は次第に高齢化し、それに伴い介護施設に入所したり相続が発生するなどして、賃貸住戸や空室住戸が増え、管理組合役員のなり手が不足(人不足)する他、管理費・修繕積立金の収支状況の悪化(金不足)といった管理困難な状況に陥っています。
2 外部の専門家の活用
(1)相談、助言、指導による支援
マンションは1つの建物を多くの人が区分所有するため、権利・利用関係が複雑で建物の構造上の技術
的判断も難しく、マンションを適切に維持、管理していくためには、法律や建築技術等の専門的な知識が
必要となります。
そこで、外部専門家の支援を受けることが有効となります。例えば、マンション管理士その他マンショ
ン管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営やその他マンションの管理に関し
て相談したり助言、指導その他の援助を求めたりすることです(標準管理規約34条)。
(2)役員、管理者への就任
外部専門家に相談、助言、指導などの援助を求めるだけでなく、さらに進んで、専門家に直接管理組合
の運営に携わってもらうことも考えられます。つまり、外部の専門家が管理組合の役員や管理者に就任す
る方法です。
(著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二