5 名簿管理細則の整備の必要性
標準管理規約では第64条(帳票類の作成、保管)で、「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名
簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったと
きは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定す
ることができる」という規定を置いています。
組合員名簿の具体的な管理方法や閲覧に関することを規約で定めることは要しませんが、管理細則を定め
て組合員の安心感を得ることが重要ですし、適切な管理方法を採りましょう。
6 管理会社への名簿提供と責任
管理会社に組合員名簿を渡したり閲覧させる場合には注意を要します。個人情報保護法では利用目的をで
きる限り特定して個人情報の提供を行う必要がありますし、第三者への提供は制約されます。したがって、
組合員に、管理会社に名簿を提供することを知らせておくことが求められます。また、個人データの安全管
理が図られるよう、管理会社の個人情報保護体制を確認するなど必要かつ適切な監督を行わなければなりま
せん。
7 被災後の区分所有者等の連絡先の管理
個人情報保護法は、人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得
ることが困難であるときは、個人情報の第三者提供を許しています。被災時には第三者提供の許される場合
があると考えます。
被災によって区分所有者が死亡したときや仮設住宅等に避難しているときに、そのことを組合役員が知っ
ているにもかかわらず、集会招集通知を規約に従って行えば有効なのかという疑問があります。少なくとも
被災マンション法が適用された場合、過失があったときは到達の効力を生じないとしており、通知先の調査
を求めています(同法第3条第3項、第8条第4項参照)。
(著)高岡総合法律事務所 弁護士 高岡 信男