「区分所有法」を改めて振り返る
民法と区分所有法
区分所有法は、分譲タイプのビルやマンション専用の特別法として1962年4月1日に制定された(1963年4月1日施行)。
特別法である区分所有法は、一般法である民法より優先される。
また、区分所有法の規定にない事項については民法が適用される。
民法には、1つのものには1つの権利が認められるという一物一権主義の原則がある。
具体的には、壁はAさん、屋根はBさんのもの、とすることはできないとされている。
しかし区分所有法の下では、1つの建物であっても、例えば、建物の一部である203号室はAさんのもので、502号室はBさんのものと決めることができる。
区分所有法の改正の変遷
区分所有法の施行により、これまで民法で十分に定められていなかった、一棟の建物が構造上区分されている場合の各区分の所有権についての規定が明確になった。
その後、大きな改正が行われたのは、1983年と2002年の2回である。
1983年は、主にマンションの管理・運営に関する制度の強化が行われ、また、区分所有者はその有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離処分することができなくなったなどの改正が行われた。
2002年の改正では、修繕・建替え・除去など行政の統制と関与に係る規定が増加した。
分譲マンションの増加
区分所有法の制定により、マンションの法的位置付け等が明確になり、住宅ローンを利用した購入も可能となり、マンションブームが起こる。
その後、マンションのストック総数は増加していき、国土交通省「2017年度 住宅経済関連データ」のうち、「マンションの供給戸数(施工ベース)」をみると、2017年末時点のマンションのストック総数は約644.1万戸、マンションの居住人口は約1,533万人と推計され、国民の約1割に相当するまでになっている。
また、1997年に建築基準法が改正され、廊下やエレベーターホールなどの共用部分が容積率の計算から除外されることとなった。
これを「共用廊下等の部分に係る容積率の不算入措置」という。
分譲マンションが増加した1つの要因といえる。