マンションの現状と課題
1 「二つの老い」
築後40年を超えるマンションは、平成29年末時点では72.9万戸ですが、10年後には約2.5倍
の184.9万戸、20年後には約5倍の351.9万戸と急増する見込みです。
一方、マンションの世帯主の高齢化は年々進み、平成25年度マンション総合調査では、世帯主年齢60
歳以上の割合は50.0%で、平成20年調査時の39.4%から大きく増加しています。
ちょうど2世帯に1世帯が60歳以上という高齢化に突入しています。
このように、「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」という「二つの老い」に直面しています。
2 役員のなり手不足
人は年齢を重ねると、どうしても精神的にも肉体的にも行動力は衰えます。
もちろん、元気な人も大勢いるでしょうが、加齢に伴い組合運営よりも自分の健康の方が心配になり、
マンション管理に対する意識は薄れがちです。
しかも、高齢化に伴い介護施設に入所したり相続が発生したりして、住戸を賃貸に回せば、住んで
もいないマンションの運営にますます興味がなくなります。
その結果、管理に無関心な区分所有者等が増加し、管理組合の役員のなり手が不足するようになります。
(著)湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二