マンションで起こるトラブルを防止するための相談から/マン管通信2015・12 - NPO法人岡山県マンション管理組合連合会

マンションで起こるトラブルを防止するための相談から/マン管通信2015・12

【相続人がいない】

 ある住戸で管理費等の滞納が続いていましたが、管理会社の報告によりその住戸の区分所有者が亡くなっ

 ていたことが判明しました。

  しかし、身内からは何の連絡もなく、相続人がいるのかいないのか全く情報がなく困っています。

  このままの状態が続くと、管理費等の滞納がどんどん増えて管理組合の運営に悪影響が及ぶことが心配さ

 れます。

  このような場合、理事会はどのように対応すればよいのでしょうか。

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 近年、マンションでは一人暮らしで高齢の区分所有者が多くなり、この区分所有者が管理費を滞納したま

 ま死亡した場合の対処方法についての相談が多くなっています。

  この中には、相続人がいても相続を放棄するといったケースも増えています。

  相談事例のように、一人暮らしの区分所有者が管理費等を滞納したまま死亡して相続人の存在が明確でな

 い場合は、滞納管理費等を請求するために管理組合が相続人を探し出すことになります。

  民法951条では、相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求

 によって「相続財産管理人」を選任しなければならなく、選任したときは遅滞なくこれを公告しなければな

 らない(民法952条1,2項)とされています。

  ここでの利害関係人には、「相続債権者」としての管理組合も含まれます。

  相続が絡む滞納管理費等の請求に関しては、法的な手続きが必要となりますので、弁護士など専門家に

 相談しながら進めるとよいでしょう。

                     (公財)マンション管理センター 管理情報部参与 松本 洋

(岡管連から)

 滞納管理費等に限らず管理組合の業務については、管理組合(理事会)自身で判断し、責任と負担が伴います。

 管理会社は、管理組合から委託を受けて、契約に基づいた業務を行うだけです。

 この事例における管理組合(理事会)が行うべき業務について、以下の点をしておきたい。

 ① 管理費等の滞納が続いていたようだが、その対応・措置等はどうしていたのか。

 ② 管理会社からの報告で死亡を知ったようだが、それまでに当該人物と接触し、状況等を把握できて

  いたのか。

 ③ 当該人物が病院・施設等に入所していたため、管理費等の滞納があったのではないのか。

 ④ 当該人物に何かあった場合に備えて、相続人を含めた緊急連絡先等の『居住者名簿』を作成して

  いるか。

 ⑤ 管理費等の滞納金の回収は管理会社の業務ではなく、管理組合(理事会)が行うものである。

 ⑥ 管理会社は一定期間の督促等を行なうが、管理費等の滞納金の回収は弁護士業務となる。

2016年1月21日 | カテゴリー 相談事例から