ある管理組合からの相談で、管理組合の総会において『修繕委員会』を設置したのですが、その後の取り組みをどのように進めていけばよいのかという質問を、岡管連にいただきました。
修繕委員会の運営は、本来、概ね12年ごとに定期的に行われる『大規模修繕工事』を念頭に置いて進めていくことが求められます。
その場合、修繕委員会の取り組みは第1弾として、『自主点検』です。これは大規模修繕工事を実施する前段階として、修繕委員会が現状のマンションの情報の収集と把握、また問題点等の情報の共有化等の取り組みを行っていくことにあります。
次に第2弾として、『ルール化を図る』ことです。『大規模修繕工事専門委員会運営細則』等の作成案の作成と、当該運営細則に基づいた大規模修繕工事の実施に向けた取り組みを行っていくことにあります。
【自主点検の取り組み】
①修繕委員会は自主点検チェックシートを作成し、当該チェックシートを基に居住者へのアンケート調査を実施し、居住者からの不具合箇所等の報告を受ける。
②修繕委員会はその報告をまとめ、修繕委員会主導による理事会役員並びに居住者有志による『マンション探検隊』を結成し、建物、設備、敷地等の自主点検を実施して、不具合箇所等の調査・確認し、情報の共有化を図る。その場合、専門家の同席を検討する。
③修繕委員会は②の調査・確認したものをまとめ、『管理組合からのお知らせ』等として居住者へ報告する。
④修繕委員会はその後一定期間、③以外の不具合箇所等がないかどうかの報告を再度受け付ける。
⑤修繕委員会は④の報告があれば、調査・確認し、③に追加し、③と同様に報告を行う。
⑥修繕委員会は③及び⑤を基に、総会決議を受けて、専門家による『建物(劣化)診断』を依頼する。
⑦修繕委員会は⑥を基に、総会決議を受けて、長期修繕計画及び定期修繕費用等についても、見直しを専門家に依頼する。
⑧修繕委員会は⑦に基づいて、現在の『修繕積立金』が適正かどうか判断する。
⑨修繕委員会は⑧の判断の結果、将来の修繕積立金に不足等が生じる場合には、建物(劣化)診断書、長期修繕計画書、修繕積立金見込累計額等の書類を添付して、理事会に具申する。
⑩修繕委員会は⑥の結果、早急に修繕等が必要な個所があると専門家から指摘された場合には、当該建物(劣化)診断書を添えて理事会に報告する。
【ルール化を図る】
①修繕委員会は、大規模修繕工事を実施するに当たり、『大規模修繕工事専門委員会運営細則』等の細則案を作成したものを理事会に具申し、大規模修繕工事に関する手続き等のルール化を図る。
②修繕委員会は、毎年1回『マンション探検隊』を結成し、自主点検を行う。
③修繕委員会は、概ね12年ごとの大規模修繕工事を念頭に置いた情報収集、調査研究等を行うために、定期的に当該委員会を開催し、また外部のセミナーなどに参加する。
④修繕委員会は、大規模修繕工事を行おうと予定している概ね3年程度前に、大規模修繕工事の実施予定時期・内容、また予定費用などについて、理事会に次期総会に発議するよう具申する。
⑤修繕委員会は、大規模修繕工事を行うことについて、関心を持ってもらうために、居住者に向けて定期的に、情報発信等を行う。
⑥修繕委員会は、大規模修繕工事を円滑に進めるために、また居住者の御理解・御協力等を得るために、当該工事の説明会等に向けた専門家との間で、鋭意協議を重ねる。
*なお、『自主点検』に関しては、2月にお伝えする予定にしています。