【 ゴ ミ 屋 敷 】
今回の相談は、高齢化世帯の増加に伴い、今後マンションにも起きてくるであろうという事例でした。
この事例は、岡管連が取り上げているテーマである
『二つの老い』の究極たるものです。
概要として、以前は高齢の夫婦がマンションで生活していたのですが、一方の配偶者が亡くなった後、独居老人がマンションの1室に閉じこもるようになり、ゴミを出さなくなったというのです。さらに、その1室では猫を飼っていたのですが、声もしなくなったとのこと。
そうこうしているうち、ここ最近はその1室から異臭がしだすようになって、周りからの苦情等により、理事が訪問すると、本人はおられるようなのだが、玄関ドアを開けてくれなくて理事会がその対応に困っている。
また、独居老人の親族がおられるのだが、その親族と理事会が連絡をとり、対応をお願いしたが、かなわなかった。
【 セルフネグレクト 】
これは『自己放棄』というもので、専門用語で
『セルフネグレクト』と呼ばれます。
つまり、自己に閉じこもり、社会との関わりを自ら拒絶する状態のことをいいます。
このセルフネグレクトは非常に厄介な問題で、戸建て住宅とか、アパートなどによく見受けられて、『ゴミ屋敷』に陥るパターンになることがよくあります。それがとうとうマンションにも波及したということかもしれません。
なぜセルフネグレクトが厄介かと言いますと、
『本人の意思を尊重』する必要があるのと、この状態を放置しておくと、場合によっては、その1室で独居老人が『孤独死』の結果にもなりうるということです。
また『ゴミ屋敷』にもなれば、よくテレビなどで報道されるように、その周辺にも非常に迷惑をかけることにもなります。
(岡管連から)
【独居老人への支援】
マンションでの独居老人がゴミ屋敷で、かつ、セルフネグレクトの場合、『独居老人の生活・生命』について、まず最優先で考えなければなりません。マンションの理事会・自治会だけでは、対応は不可能です。
この場合、『擁護者』となりうる親族及び民生委員を巻き込み、そのうえで、地域包括支援センターに相談のうえ、行政の窓口である高齢者福祉課も加わった関係者による『ケース会議』を開く必要があるでしょう。なお、独居老人の生命に危険性が迫るような場合には、警察官が立ち会う場合もあるでしょう。
管理組合(理事会)としては、『ゴミ屋敷と孤独死』の問題は、マンションの資産価値にも影響するということを念頭に置きながら対応していく必要があるでしょう。
高齢化の問題は、マンションにおいても、『無関心』ではいられなくなるのではないかと思われます。『マンションは社会の縮図』でもあります。