管理費等請求控訴事件:東京地判平成27年6月10日
本件は、築後30年を経過したマンションで、新築当時から管理費の見直しもされておらず、かつ、法令等の改正により点検義務が増加傾向にあり維持管理の費用も増加していることから、マンション管理組合(原告・被控訴人)が、総会決議で管理費を値上げしたところ、本件マンションの区分所有者(被告・控訴人)が、同値上げの決議は、従前の管理費を23.31%も値上げするもので無効である、同値上げには組合員の同意が必要であるとして管理費を滞納したため、滞納管理費の支払いを求めて訴えを提起したものです。
コメント
原審では原告の請求が全面的に認容されたため、被告が控訴、被控訴人が附帯控訴として、当審における弁護士費用21万6,000円の請求を追加したものです。
控訴審においても、控訴人の請求は棄却され、また、被控訴人が附帯控訴した当審における弁護士費用21万6,000円についても、違約金としての弁護士費用、実費相当額が全面的に認められています。
(著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文
(岡管連から)
管理費等の値上げに関して、組合員の同意は必要としない。理由は、次の3つです。
・一部の組合員だけに、『特別の影響』を与えるものではないこと。
・管理費等の滞納は、『共同の利益』に反するものであること。
・管理費等の値上げは、総会での『普通決議』であること。