自主管理から一部委託への模索
5 老朽化した給水設備の改修工事
アンケートの回答では、専有部分の漏水事故や水道の赤水などの苦情が寄せられ、早期の改修工事が
求められていました。
しかし、組合員の高齢化も相まって、修繕委員だけでこれらを遂行するのは負担が大きく困難な状況
でした。
そこで、理事会からの依頼により、本件に関するコンサルティングも行うことになりました。
この業務内容は、専有部分の給水設備に係る工事費の負担問題と管理規約の改正、設計事務所および
施工会社の選定手続き(公募資料の作成、見積要項書作成、見積比較一覧表、ヒアリング段取り)、
その他修繕委員会の支援業務などでした。
中でも、心配された専有部分の給水設備に係る工事費負担の問題は、以下のとおりスムーズな合意形成
ができ、大きく前進することができました。
管理規約では、専有部分の給水設備に係る工事費は組合員が負担する定めとなっています。
しかし、こうした場合、専有部分の工事が100%実施されるとは限らず、工事未実施が1戸でもあれ
ば、漏水の危険にさらされます。
そこで、漏水の心配のない安心な暮らしを確保するため、全戸一斉の改修工事を確実に実行して、今回
の共用部分および専有部分に係る給水設備の工事費を管理組合が全額負担すること、同工事費を修繕積立
金から充当できるよう管理規約を改正することを総会に諮ったところ、平成28年の臨時総会において
原案どおり可決承認されました。
6 自主管理から一部委託への模索
自主管理を維持するためには、管理運営に関する実務処理能力の高い役員や有用な事務局員が存在する
こと、組合員が管理組合活動に協力的であることなどの要件が必要になります。
しかし、組合員の高齢化が進めば、自主管理の継続は困難になってきます。
今後、輪番制による会計担当理事の交替や、直庸の事務局員が退職した場合には、会計業務や滞納管理
費等の対処を正確に伝えるか一抹の不安がありました。
そこで、今般、C組合に対して会計業務についてのみ管理会社へ外部委託することを提案しました。
これはC組合にとって大きな決断です。
約半年にかけて理事会の中で協議を行った結果、早々に臨時総会を開催し、本件議案を上程することに
なりました。
(著)マンション管理士 西脇 利一
理事長のひとこと
築2年目(昭和49年)以降、素人集団での自主運営で管理しておりました。
マンション管理士の西脇さんにお願いしてから、やっと他のマンションと同じような総会資料を作成できるようになりました。
これからも、当組合では、西脇さんに引き続き支援をお願いしたいと考えています。
全国のマンションでも同様な難題をかかえていることもあるかと思いますが、この対応としてマンション管理士を活用されることをお勧めします。