1 駐車場法の適用範囲
駐車場法は、自動車交通量の増大に伴う駐車場需給の逼迫、路上駐車の深刻化等を背景に、「道路
交通の円滑化を図り、もって公衆の利便に資するとともに、都市機能の維持及び増進に寄与する」
(第1条)ことを目的として、昭和32年5月に制定された法律である。その後直近として、平成
23年12月に改正されている。
しかし、駐車場法における大臣認定制度(注)は、路外駐車場(一般公共の用に供する駐車場)
のみを対象としており、マンション等の専用駐車施設(機械式立体駐車場等)については対象として
いない。
一方、機械式立体駐車場の事故は、むしろマンション等の専用駐車施設において多く発生している
ことに鑑みれば、安全性を確保する観点から、駐車場法の適用範囲の見直しや関係法令における対応
を含めた新たな制度的枠組みの検討が求められる。
(注)駐車場法第11条(構造及び設備の基準)
路外駐車場(一般公共の用に供する駐車場)で、自動車の駐車のための部分の面積が500
㎡以上のものの構造及び設備は、建築基準法その他の法令の規定によるほか、同法施行令に定
める技術的基準による。
2 マンション等の専用駐車施設の点検・整備
マンションにおける機械式立体駐車場等の施設は、現行制度上、点検報告等は義務付けられておら
ず、機械式駐車装置の故障、経年劣化等に対する点検・整備は、最終的には管理組合等の判断に委ね
られているのが実情である。このため、費用負担等の問題から点検・整備が適切に実施されない恐れ
があり、実際、安全センサーの修繕が実施されないまま装置が使用され、事故に至ったケースも見ら
れる。
したがって、特に機械式駐車装置については、その安全性を確保する観点から、点検・整備が確実
に実施される仕組みが必要であり、具体的な点検時期・項目、点検資格者等を含めて、制度的な検討
を深めていく必要がある。