熊本 壁少なく、駐車場など被害
熊本地震では、鉄筋コンクリート造りのビル(マンション)で1階がつぶれる被害が相次いだ。1階部分に駐車場がある「ピロティ形式」や、店舗などで壁が抜けている建物がほとんどだ。阪神大震災で被害があったことから設計の基準が強化されたが、それ以前の古いビル(マンション)が目立つという。
上の住居部分が地面すれすれまで落ち込み、鉄筋コンクリート製の柱が、ぐしゃりとつぶれていた。
マンションを販売した会社の元社長によると、建物は1974年に完成。「市中心部でも、これからは車が欠かせない」と考え、1階に駐車場を設けたという。
現地を調査した松田泰治・熊本大教授(地震工学)は「ピロティ形式の耐震性が弱いのは阪神大震災の教訓だが、今回も繰り返してしまった」と指摘する。
重さを支える壁が少ないため、建物が大きく揺れると柱に力がかかってつぶれやすい。阪神大震災では、81年にできた新耐震基準の建物でもピロティの被害がでた。これを受け95年に基準が強化され、太い柱や鉄筋の増量が求められた。
柱を太く補強し、筋交いを入れるなどの耐震化工事をすれば被害は減るが、民間の建物はコストや住民の合意形成の問題があり遅れているという。
幹線道路沿いのビル(マンション)が倒壊すれば、救援の妨げになる可能性もある。東京大の田尻清太郎准教授(耐震構造)は「避難や救助に影響する幹線道路沿いはより強力に進める必要がある」と話す。
(注)カッコ内のマンション及び下線は、こちら側で記載。
(岡管連から)
新耐震基準は、1981年6月1日から適用されています。
但し、ピロティ部分のある建物などはさらに基準が強化され、その基準が2000年6月1日から施行されています。
この強化耐震基準はあまり周知されていないため、強化耐震基準前のピロティ部分のある建物などについて、今後、問題になってくるでしょう。
NPO法人 全国マンション管理組合連合会(全管連) ホームページより