【点検と計画修繕への取組、長期修繕計画の作成等】
5 長期修繕計画の作成
マンションに使用されている建築材料や設備機器は、それぞれに耐用年数が異なり、また、傷み方にも
差異が生じるため、ばらついている修繕時期や周期をできるだけ集約することで経済性を高めたり、居住者
への生活障害を少なくしたり、効率的に計画的な修繕を実行していくためには『長期修繕計画』が必要に
なります。
① 長期修繕計画は計画修繕実施の指針
長期修繕計画は概ね20年~30年程度の期間を対象として、外壁などの大規模修繕工事や屋上防水
工事、鉄部塗装工事、給水管・排水管改修工事など比較的多額な費用が必要となる修繕工事を、いつの
時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するものです。
計画修繕を実行していくための資金計画を検討し、修繕積立金の額を決定する根拠となります。
外壁の大規模修繕工事は12年程度の周期で実施するのが一般化していますが、実際に工事が必要と
なる時期はマンション個々の条件や劣化の進行度合いにより異なります。
特に、最近の仕上げ材や防水材は耐久性が以前に比べて向上していますし、給水管や排水管などの
配管材も大変耐久性の高い材質のものが使用さています。その建物の使用や状況に即した修繕時期の検討
が必要になります。
マンション個々の状況に応じた自前のものとするためにも、管理組合が主体となって長期修繕計画を
作成することが大切です。
管理組合が主体となり取り組むからこそ、さまざまな考え方を持つ所有者間の合意が形成され、計画
修繕の円滑な実行につながるものと思われます。
② 長期修繕計画の定期的な見直し
長期修繕計画は固定的なものではなく、一度作成すれば終わりというものではありません。
技術の進歩による新たな修繕や改修方法が開発され普及することもあり得ます。
経済情報の変化による物価の変動や計画外の思わぬ事態が進行していないかを考慮して、一定の時期に
見直すことが必要です。
予定された修繕時期が近づいたら調査診断を行い、長期修繕計画で予定されている修繕工事の要否
や範囲などについて十分に検討する必要があります。
6 設計図書や修繕履歴などの保管・整理
計画修繕の基本となる長期修繕計画の作成や見直しには、建物や設備の図面が必要となります。
また、過去の修繕履歴や定期点検、日常保守の記録などを保管し整理しておくことも、長期修繕計画や
修繕実施前の調査診断の精度を高めることにもつながります。
(著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一
(注)下線は、こちら側で記載
(岡管連から)
概ね5年程度に一度、建物(劣化)診断等を行い、それをベースにして、長期修繕計画を見直すことをお勧めします。
修繕記録等の保管については、マンション管理センターの『マンションみらいネット』をお勧めいたします。