特定承継人の義務

【旧区分所有者が有する債務】

 区分所有権の売買等に伴い、特定承継人が旧区分所有者の有する債務の支払義務を負うかどうかの問題になる例として、区分所有法上の規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権で、その具体例は各組合員に対する管理組合の債権、つまり、規約又は総会の決議で各組合員が負担すべき管理費等や大規模修繕のために一時負担金等について定めた場合のこれらの支払請求権などです。

 このほか規約で、区分所有者の義務違反行為について定めた場合の違約金支払請求権もこれに含まれます。

 

【専有部分内の水道料金の債務】

 マンションの水道料金については、専有部分及び共用部分を含めた水道料を自治体の水道局と管理組合とが大口契約を締結しているところがよく見受けられます。これは、個別契約と比べて大口契約の方が水道料が低く抑えられるのと、水道局の方も個別契約に比べて、大幅に事務負担が抑えられることにあります。

 しかし、この大口契約は、本当に管理組合にとって、メリットがあるのでしょうか?

1 水道局との大口契約 

 ・大口契約の水道量には、共用部分の水道量と専有部分の水道量からなり、水道局には、全体の大口

  契約の水道料金を払っている。

 ・各戸のマンションには、管理組合が各戸の水道メーターから按分計算した金額を請求している。

  したがってよくあるのが、管理組合の管理費会計の勘定科目として、水道料が収支の両方に存在し

 ている。これも不思議である。

  本来、専有部分の水道料金の徴収は、共用部分の管理から生じたものではなく、管理組合の業務で

 はない。その分、管理組合の事務負担となっている。

2 区分所有者が水道料金を滞納した場合

  そこで、区分所有者の一人が水道料金を滞納した場合はどうだろうか?

(1)管理組合が負担

  その場合、滞納者の水道料金は管理組合が負担することになるが、だからと言って、滞納者の水道

 をストップすることは、判例上できない。

  また、水道料金の徴収について、規約、細則等に明記していない場合、裁判を提起しても敗訴する

 可能性がある。

(2)水道料金の滞納額は特定承継人に承継されるのか?

  判例では、『専有部分の水道料金は、共用部分の管理とは直接関係がなく、区分所有者全体に影響

 を及ぼすものではないから、特段の事情のない限り、規約で定め得る債権の範囲に含まれない。

 と、特定承継人の責任は否定されている

2014年6月15日 | カテゴリー 管理基礎講座