タワマンに死角あり 浸水リスク、合意形成も難題/日本経済新聞10・19
首都圏中心に増えてきたタワーマンション。
新築マンション購入者の5人に1人がタワー型となるが、様々なリスクが浮上してきた。
「東日本大震災でも停電は1日だったのに」。
JR武蔵小杉駅(川崎市)近くにある築11年の47階建てマンション。中層階に住む女性(59)は嘆く。
台風19号の影響で、地下3階が浸水し電気設備が故障した。
エレベーターや排水設備が動かず、トイレも使えない状態に。給水ポンプも電動のため断水した。
このマンションは東日本大震災を機に防災を見直し、
地下3階にあった水や簡易トイレなどの備蓄品を各階に移した。
災害対策を重ねてきたが、地下は四角だった。
マンション管理コンサルタントの土屋氏は「タワマンでは大規模な配電設備が必要で、スペース確保のため地下2~3階に設置することが一般的」と指摘。
「配電装置を水密構造にするなどハード面を強化する必要がある」と話す。
浸水を防いだマンションもある。東京都世田谷区の東急田園都市線二子玉川駅周辺。
多摩川沿いのマンションでは、エントランス前に高さ1メートル20センチほどの止水板を設置。
周辺には浸水したマンションもあったが「あと10センチのところで助かった」(管理組合の理事長)。
水害の規模にもよるが、事前の対策が明暗を分けた。