マンションの管理不全とその対策を考える(1)/マン菅通信2019・10

なぜ、管理不全になったのか?

 なぜ、管理不全になってしまったのかについて、登記を調べ居住者や近隣住民に聞いてみたところ、都市部では概ね5つのパターが見られました。

 1つ目は、マンション内の住戸を買い占めて地上げをしていた業者の倒産です。抵当権者等の関係者が多く、処分方針が決定できません。ゆえにそのまま放置されています。

 2つ目は、等価交換型マンションのように、元地主保有の住戸が多くあるマンションです。元地主所有の住戸が賃貸にされているため、所有者不在率が高くなっています。また、元地主が頑張って直接管理を行ってきたため、当初より管理組合や管理規約、長期修繕計画、修繕積立金のような基本的な管理体制がありません。それでも何とか人もマンションも若いうちはやってこられましたが、元地主が亡くなり、管理のリーダーシップを取る人も体制もないため、管理が適正に行えません。

 3つ目は、長屋型のマンションです。エレベーターがなく、低層少住戸であるため、問題があればその場その場の対応でやってきましたが、さすがに大規模修繕に対応できるだけの体制がありません。

 4つ目は、小規模自主管理のマンションです。区分所有者が住み、若いうちはみんなで手分けして管理を行っていましたが、賃貸化、空き家化、そして高齢化が進み、理事の成り手もなく、管理の実行部隊がいません。

5つ目は、小規模雑居型のマンションです。店舗区画と住戸区画で管理の合意形成が難しく、管理が行われていません。

 これらのマンションでは、当初から長期修繕計画、それに基づく修繕積立金がないため、大規模修繕が実施できず、物理的に管理不全が進行しているという点が共通しています。また、日常的に管理組合を適正にサポートする管理会社の支援体制がないことも共通しています。

(著)横浜市立大学国際教養学部 教授 齊藤 広子

2019年11月05日 | カテゴリー 管理不全マンション