(上) 避難所に入れない
災害発生時に身を寄せる場所となるのは避難所だ。しかし、南海トラフ巨大地震など広域災害では地域の全住民を収容するのは難しく、耐震性が高いマンションだと在宅避難が基本になる。ところが県南地域ではマンションが急増するものの防災対策はほとんど進んでいない。
避難所となる最寄りの中学校に出向くと市の職員に告げられた。「マンション住民だけで避難所がいっぱいになる。帰ってもらわないといけないかも・・・」
そもそも岡山市は南海トラフ巨大地震で最大約11万6千人の避難者が発生すると想定し、物資の備蓄などを進めているが、この想定には耐震基準を満たしたマンションの住民を含めていない。
避難所に入れないのなら、マンションで1週間程度、在宅避難ができる備えをしておかなければ・・・。
ズーム
マンションの防災
近年の地震や台風などでマンションの電気や水道などのライフラインが途絶し、住民が長期にわたって不便な生活を強いられるなど高層建築特有の課題が顕在化している。全国的にマンションは増加傾向にあり、岡山市の調査では同市内のマンションは約2万6千戸(2021年度末時点)。市内の住宅戸数の約8%を占める。