神奈川・逗子崩落事故 命救えた可能性
住民 復旧、賠償重く
神奈川県逗子市でマンション敷地内の斜面が崩落し女子高校生が死亡した事故は、事故直前に斜面上部で亀裂が見つかっていた。複数の専門家は「崩落の前兆」と指摘するが、県の担当者が残したメモや関係者の証言をたどると、管理人が発見した亀裂の情報が危機感を持って共有されず、対応が後手に回った経緯が浮かぶ。
事故はマンションの住民に遺族への賠償や、斜面の応急工事の負担という思い課題を突き付けている。
遺族は、事故前日に異変を察知しながら適切な対応を怠ったとして、大京アステージの代表を業務上過失致死の疑いで、マンション住民(約40世帯)を過失致死の疑いでそれぞれ県警逗子署に刑事告訴。さらに、約1億1800万円の損害賠償を求め、住民側と協議している。
逗子市によると、崩壊した斜面は分譲マンション敷地内の共用部で、住民約40世帯の「区分所有」だ。応急措置として市が負担した復旧工事費約3000万円や、今後予定される追加工事費約5400万円の一部を住民が負担するよう協議している。
住民側は大京アステージと契約を結んでおり、契約内容に照らして大京の範囲は個別の契約内容によるが、管理会社の対応が適切だったかどうかは最終的には裁判で争うしかないのではないか」と話す。
管理組合の運営をサポートしている公益財団法人「マンション管理センター」(千代田区)の原昇・管理情報部長は「管理組合は管理会社任せにせず、日頃から連絡を密にして、委託している管理業務の執行内容について定期的に報告を受ける機会を設け、管理状況を把握しておくことが大切だ」と話す。