携帯電話基地局収入に係る管理組合の税務申告(2)/マン管通信2014・12

【管理組合の対応】

 では、現在すでに屋上に携帯電話基地局を設置させて賃貸収入を得ているにもかかわらず、税務申告及び納税を行っていない管理組合はどのような対応をとるべきでしょうか。

 まずは、管理会社や公認会計士・税理士に相談することはもちろんですが、ここで注意しなければいけないのは、『申告・納税をしないという選択肢はない』ということです。すでに収入を得てしまっている以上、納税の義務は発生しています。これは収入金額の多寡には関係ありません。

 さらに、法人税の時効は原則5年(脱税の場合は7年)ですので、過去5年間にさかのぼって申告する必要があります。この時課税されるのは法人税、法人住民税、法人事業税ですが、申告期限を超えての申告となりますので、さらに無申告加算税、延滞税が課税されます。また、基準期間(前々事業年度)の賃貸収入の合計が年間1,000万円を超えていれば消費税及び地方消費税の対象になります。

 なお、税務調査があって指摘されたらその時にすればいいとか、管理組合に税務調査が入ったという話など聞いたことがないから大丈夫だろうといったことをお考えの向きもあるかもしれませんが、携帯通信各社は『支払調書』というものを税務当局に提出しています

 これには基地局の賃借料をいつ、どこに、誰に、いくら支払ったかということが記載されています。すなわち、税務当局はどこの管理組合にいくら賃借料が支払われているかということをすべて把握しており、当然その管理組合が税務申告をしているかどうかも調べれば即座にわかる状況にあるということです。逆に、今税務調査が来ないのは、周知を図っている期間であって、自主的に申告することを待ってくれていると考えるべきです。

 本来の申告期限(通常は事業年度終了の日から2カ月以内)を超えて申告した場合は、無申告加算税というペナルティが課されます。税務調査を受ける前に自主的に申告すれば納税額の5%が上乗せされるだけで済みますが、税務調査で指摘された場合は納税額50万円までが15%、50万を超える部分については20%となります。また、納付期限までに納付されない場合には、原則として法律で定められた期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。

 管理組合にとっては非常に大きな支出になりますが、かといって申告せず税務調査で指摘された場合の理事長はじめ役員の責任の問題といったことも考慮の上で、速やかに申告・納税を行うことをお勧めいたします。

               (著)小川公認会計士事務所 公認会計士 小川 聡

(岡管連から)

 管理組合の携帯電話基地局収入の『税務申告・納税義務』に関して、2回にわたり掲載しました。

 税務の問題は、一見すると管理組合には関係ないと考えられますが、契約等により第三者との間で取引を行い、その結果として対価を受け取る場合、税務処理を行う必要性が出てきます。

 税務の問題は携帯電話基地局収入に限らず、例えばマンションの屋上に、今はやりのソーラーを設置し、『太陽光発電」』で得た電力を電力会社に売電した場合も同様であります。

 税務処理に当たって、管理組合の経理も適正、かつ透明に行う必要があります。その場合、管理組合としては、以下の点に配慮を要するでしょう。

① 事業収益と非事業収益とに分ける。

② 非事業収益については、『管理費会計』、『積立金会計』、「その他駐車場会計」の

  区分経理を行う。

③ ①及び②について、管理規約等に明記する。

  特に事業収益については、税務処理について明記し、その税務処理後の収益を

  どのように処理するかを明記する。

 携帯電話基地局にしろ、ソーラー設備にしろ、外部から見えるものです。税務当局にも目につきやすく、かつ①~③を行っていなかった場合、思わぬ納税を課される場合もあることも付け加えておきます。

2014年1月15日 | カテゴリー 管理基礎講座