コミュニティ

マンションの価値はコミュニティで決まる

 永年にわたるマンションの管理運営で養われた豊かなコミュニティを守り育てつつ、良好な住環境を持続的に維持・創生していくことが成熟社会でのあるべき姿です。そのためには、マンションの管理だけにとどまらず、地域のまちづくりにも積極的な役割を果たしていく取り組みも必要でしょう。

 重要無形民俗文化財である京都の祇園祭は千年あまりの伝統をもつ祭事として知られていますが、山鉾町のあるマンション(平成10年築)では、マンション住民も祇園祭を担うようになったことで新旧住民の交流が活発になり、地域と共にコミュニティを育んでいます。いまや、町内の主要行事の参加者はマンション住民が半数以上を占めるようになり、町内にとって欠かせないマンションとなりました。このような地域とのコミュニティを大切にした取り組みがマンション管理の活性化にも波及し、「暮らしの価値」を育む管理活動が活発に展開されています。

 成熟社会におけるマンションの管理とは、お金では換えられない価値を共有し、人々の絆でもって守り育てていく「暮らしのデザイン」と言えます。その持続的な取り組みが管理組合の活動を活発化させ、重要な案件を決定する際の円滑な合意形成にも大きく寄与することになります。

 マンションの資産価値はコミュニティで決まるといっても過言ではないでしょう。

(著)京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 教授 鈴木 克彦

| 2017年9月11日 | カテゴリー コミュニティ 

マンションの価値とは?

 マンション管理の現場では資産価値を守ることが大事なミッションとなります。では、マンションの資産価値とは立地場所や建物の築年数、広さ、維持管理状況といった「もの」としての不動産価値で全てが決まってしまうのでしょうか。大切なマンションがこのような市場原理によって評価されてしまうならば、マンションの価値は経年とともに低下し、必然的に空き家化も進行していくでしょう。

 しかし、市場原理では評価できない大切な価値がマンションにはあります。とりわけ高経年のマンションでは、長年の居住で人々のつながりが醸成され、様々な人材が育っています。潜在するコミュニティ力を発掘し活用すれば、十分に豊かな住生活を過ごせるマンションに再生できる可能性があるのです。

 つまり、マンションの価値を維持していくためには、何よりもコミュニティ力を大切に醸成していき、不動産の価値が「もの」としてではなく、時間の蓄積で得られた「暮らしの価値」として評価されていくことが大切です。そのためには、日常のマンション管理において「場づくり」「人づくり」「仕組みづくり」に心がけて取り組んでいくことが必要となるでしょう。

 「場づくり」とは、コミュニティを醸成するマンションの施設を活用して共有意識や帰属意識を高めていくことです。小規模マンションでは集会室すらないところも多いのですが、最近では受水槽給水方式を直圧給水方式に変更したことで受水槽室が不要となり、これを集会室に転用している事例も見られます。

 「人づくり」とは、多様な人材を活用して寛容の精神を大切にしながらコミュニティ力を守り育てていくことです。

 そして「仕組みづくり」では、「場」と「人」とが出会うドラマをつくりだし、生活文化を継承していくことです。

 これらが相互に作用していくことで「暮らしの価値」が時間と共に増大し、お金では換えられない大切な価値を共有することができるのです。

(著)京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 教授 鈴木 克彦

| 2017年9月09日 | カテゴリー コミュニティ 

はじめに

 マンションの資産価値の低下の本質的な原因は、区分所有者がマンション管理に無関心であることが大きいのですが、居住者の高齢化が影響して管理組合が機能しなくなっている場合もあります。高齢化社会は、マンションの管理問題にも影を落としています。

 少子高齢化が進行し、居住者の連帯意識の希薄化が指摘される状況の中で、大切な資産であるマンションが管理不全に陥らないようにするには何が大切となるのでしょうか。

コミュニティで左右されるマンション管理

 マンション管理の業務内容には、建物の維持管理だけでなく、管理組合の運営管理や居住者の生活管理など多面的な側面があります。建物の経年劣化や居住者の高齢化に伴い、役員のなり手不足、居室の空室化や賃貸化など管理運営に支障となる課題も山積みです。住宅宿泊事業法が成立したことで、いわゆる「民泊」に対しての対応も新たな課題となってきています。実は、こうしたマンション管理には運営主体となるコミュニティの形成状況が大きく影響してきます。コミュニティ形成が十分でないと管理会社まかせになってしまい、いざ深刻な問題に対面した時に迅速な対応ができない恐れもあります。

 そのため、昨年3月には国土交通省から新たな住生活基本計画(全国計画)が公表され、「住宅地の魅力の維持・向上」の目標を達成するため基本的な政策の1つとして「マンションのコミュニティ活動が居住者、管理組合、周辺住民、民間事業者、地方公共団体等の適切な役割分担の下に積極的に行われるよう推進していく」ことが明記されました。

(著)京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 教授 鈴木 克彦

岡管連から

 岡管連では、『マンションの二つの老い』の大きな要因として、時の経過とともに以下の『五大化現象』が現れてくるものと考えています。

 一 建物の劣化

 二 設備の老朽化(陳腐化)

 三 居住者の高齢化

 四 居室の賃貸化(空室化)

 五 人間関係の希薄化

| 2017年9月07日 | カテゴリー コミュニティ 

高度成長期開発のひずみ

2030年 高齢化率35%

 県内でも指折りの高級住宅地として知られる奈良市学園南。戦後間もない1950年代から開発が進み、ベッドタウンとして発展を続けてきた。しかし、同じような時期に同世代の人が数多く移り住んだことで今、ひずみも生まれている。

 「親元から独立した子供が帰ってこないという話はよく耳にする」。地区自治連合会の会長自身も3人の子供は大阪などの他地域で暮らし、現在は妻と二人だ。

 地区では近年は、あるじを失った住宅も目立つ。8軒で構成する一つの区画の半分が空き家という場所もある。周辺を歩くと、閑散とし、既に閉鎖された学生寮が寂しさを感じさせる。小学校の子を持つ主婦は「空き家が増えると治安が心配」と漏らす。

 市総合政策課は「山間地だけでなく、高度成長期に開発された『ニュータウン』で高齢化の波が押し寄せている」と危機感を募らせる。

 住む人が減れば現在、商店や病院、学校などがある地区でも撤退や統廃合が進み、利便性の低下が更なる「人離れ」を招くと容易に予想される。高齢化などの問題に詳しい松谷明彦・政策研究大学院大名誉教授は「人口減で税収も減り、社会を維持する基盤が揺らぐ」と指摘する。

岡管連から

 マンションの場合も他人ごとではなく、新築時に不特定多数の住民が同じ時期にマンションで生活していくことにある。

 区分所有者に万が一のことが起こった場合、その方の所在、あるいはその相続人等が分からず、管理費等の滞納が起こることがこれまでに指摘されている。

 また、空き室問題も起こり、マンションの維持管理面だけではなく、治安面でも管理組合の対応が求められる。

 さらに、住民の高齢化による孤独死・孤立死の防止、認知症対策などの点も配慮していく必要がある。

| 2017年7月13日 | カテゴリー コミュニティ 

スマホで安否確認 被害情報の共有も

 大規模などの災害時、自分が暮らすマンションの備えは十分ですか?

 携帯電話やスマートフォンを活用し、安否確認などを行う防災対策のほか、別々のマンションの住民が情報交換することで、お互いの防災力を高めている。

「質」が重要

 マンション防災を担う住民組織には、管理組合や地域の自治会がある。

 不動産コンサルティング会社「さくら事務所」の土屋輝之さんは、その具体的な業務として、

 ・水や食料の備蓄

 ・防災訓練の実施

 ・住民の安否確認

 などを挙げる。

 また、築年数にもよるが、マンションは木造住宅と比べて耐震性が高いことが多い。

 震災後も住民が自宅で暮らす『在宅避難』となるケースもあり、十分な備えが大切だ。

 国土交通省の「マンション総合調査」(2013年度)では、管理組合の大規模災害への対応を尋ねている。

 「災害時の対応マニュアルを作成」が18.6%、「定期的に防災訓練を実施」が37.7%だった。

 土屋さんは対応の「質」が重要だと指摘する。

 「マニュアルも自治体がつくったものではあまり意味がない。マンションの規模や住民の年齢構成に応じて整備・更新し、備えていくことが重要」と話す。

(岡管連から)

 岡山の場合は、果たしてどうであろうか?

 災害等が少ないため、無関心が多い気質の岡山で、マンション住民同士のつながり、コミュニティの形成は・・・?

 管理会社任せの多いマンションで、いざ災害が生じた場合、『自助・互助・共助』の要となる『コミュニティ』がなければ、『マンションの防災力』は、機能しないでしょう。

 岡管連では、11月26(土)14時から開催されます『マンション生活支援セミナーin岡山』において、管理組合同士のフリートーキングによる『意見交換』を予定しています。

| 2016年11月09日 | カテゴリー コミュニティ 

 【低い意識 結成率全国41位】

起きないだろう

 自治会、町内会などの単位で住民が自発的につくる「自主防災組織」。

 地域の防災力の鍵を握る存在だが、15年4月現在の県内の組織率は66.7%と全国平均(81.0%)を大幅に下回り、全国で41位、中四国では島根と並んで最下位だ。

 他県より動きが低調な理由について、県内の自治体関係者は「過去に災害が少なく、『起きないだろう』との意識が根強いため」と口をそろえる。

自主防災組織

 災害時には行政と連携し初期消火、避難誘導、炊き出しなどに当たる。

 阪神大震災で多くの人が家族や近隣住民に救助されたことから注目され、改正災害対策基本法(2013年6月施行)では、その育成が行政の責務の一つとして初めて明記された。

 岡山県の15年の組織率は、東日本大震災前年の10年(50.8%)から20ポイント近くアップしたが、全国平均には及んでいない。

「公助」の限界

 行政による「公助」の限界が指摘される中、自主防災組織の結成をいかに進め、実効性を確保していくかが問われる。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

マンションの住民組織は?

 多数の世帯が暮らすマンションにおいても、『マンションの住民組織』が必要であろう。

 ところが、一つの建物に不特定多数が暮らすマンションの場合、外部から閉ざされ、かつコミュニティーなど人間関係が希薄な環境では、住民組織が生まれにくいといっても過言ではない。

 特に、岡山県人は上記のような意識があり、その結果、マンション内の『互助』、『共助』という取り組みが生まれにくい土壌があるだろう。

 このことは、マンション管理への『無関心な面』にも表れている。

 また、マンションの高齢化に伴い、『住民同士のつながり』が欠かせません。

   DSCF7997 DSCF8007

        *『新老人の会』岡山支部 10周年記念フォーラム にて

| 2016年4月15日 | カテゴリー コミュニティ 

【老いる組織/高齢化 担い手がいない】

 自治会・町内会の役員の仕事は、回覧板の作成や自治体との連絡役、名簿の作成・管理に会員勧誘活動と、多岐にわたります。

 活動は平日の日中が多く、退職世代が担うことになります。

 65歳定年が増えて役員の高齢化が進み、最近では70代、80歳以上の会長も珍しくありません。

 若い世代を中心にマンション入居者が増えたことも、負担増に拍車をかけています。

 オートロックのマンションは回覧板を回したり、勧誘活動をしたりすることが難しいからです。

 自治会員が高齢者に偏り、活動も高齢者向きのものが多くなり、一層若者が参加しにくくなるという悪循環も見受けられます。

 横浜市が2012年に、市内の自治会・町内会向けに実施したアンケートでは、76.8%の自治会が運営上の課題として『役員のなり手が少ない』を挙げ、『会員の高齢化』も58.8%に上りました。

 市町村合併や予算の削減で行政サービスが細る中、高齢者の見守りや子育て支援など、自治会への期待は高まっていますが、実態は難しいようです。

 5年に1度の国勢調査の調査員の多くは自治会・町内会の推薦で決まっています。

 行政が自治会・町内会を頼りにしている事務はほかにも多くあります。

 例えば、市区町村が自治会に広報誌の配布を委託しています。

 市区町村から補助金を受けて防犯パトロールをしたり、民生委員や選挙の投票立会人選任に協力したりすることも多いようです。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 マンションの管理組合も自治的機能を有しており、特に災害時等の当初は、『共助』としての役割が期待されています。

 管理組合の運営面では、上記の自治会・町内会の運営上の課題として取り上げられていたように、岡管連が取り組んでいる『マンションの二つの老い』の課題の一つでもある『組合員の高齢化と役員のなり手不足』で、その機能がうまく回らない恐れがあります。

 将来的には管理組合に対して、何らかの社会的支援が必要になると思われます。

 現在、岡管連では管理組合様に対して、『マンションアドバイザー派遣事業』を行っています。この機会をご利用していただき、管理組合様へのご支援・ご相談等ができればと思っています。

| 2015年11月27日 | カテゴリー コミュニティ 

【自治会は今】

 自治会・町内会とは、ある区域に住む人たちが、親睦や住民自治のためにつくる団体です。

 つくる、つくらないは住民の自由で、加入するのも強制ではありません。

 「自治会」「町内会」の他に、「区」「区会」「部落会」などの呼び方があり、構成単位はマンション1棟から小学校区よりも広いものまでさまざまです。

 総務省によると、団体数は全国で約30万にのぼります。

 マンションの管理組合と混同されることがありますが、管理組合は建物や共用スペースを維持・管理することが目的で、原則的に所有者全員が加入します。

 管理組合によっては自治会の役割を担っているケースもあります。

 でも、自治会はあくまでも任意加入のため、管理組合費のように自治会費の支払いを強制することはできません。

(岡管連から)

 管理組合の組合員は、区分所有法の規定により、団体(管理組合)の構成員になり、建物・設備・敷地等共有財産を維持管理するために、相応の負担が求められます。

 マンションは居住用財産であるとともに、複数世帯が暮らすという共同生活の場でもあり、自治的な要素を含んでいます。

 また、総会という意思決定においては、日頃のコミュニティーがうまくいってるところは、管理組合の運営にも自治的機能が寄与しているところが多いようです。

| 2015年11月25日 | カテゴリー コミュニティ 

【人の高齢化を考える パート2】

 コミュニティの重要性が問われる中で、『コミュニティ活動は管理組合ではなく町内会・自治会の役割であるとの認識のもとに、標準管理規約の条項から削除する動きがあります。』

 とんでもない認識で、「コミュニティ活動」の定義等をはき違えています。

 マンションは、自治体(社会)の縮図としての課題がそのまま存在します。

 管理組合の活動領域として、人にかかわる課題(災害時の対応、独居老人、認知症、介護、役員のなり手不足など)は、組合員・居住者が『コミュニティの大切さ』を認識し、活動を進めていくまさに「コミュニティ活動」です。

 前回、「コミュニティ」は高齢化の問題に特化するものではないと述べましたが、『終の棲家』と考えている区分所有者・居住者が多くみえる管理組合は、今からでも遅くはありません。

 マンションライフを豊かにすることをみんなで取り組むことで一体感を育て、『楽しい』管理組合活動を通じて「コミュニティ」を育てることに、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 8月~9月ごろにかけて、標準管理規約の見直し案が国土交通省から出される予定です。

 それを受けて、パブリックコメントを受け付ける予定です。

 言われるように、「コミュニティ活動」の条項を削除するかどうか、議題に上っています。

| 2015年7月13日 | カテゴリー コミュニティ 

【人の高齢化を考える パート1】

 『コミュニティ』という言葉をよく見聞きします。そして、その大切さが論じられています。

 高齢化の問題に特化するテーマではありませんが、「コミュニティの形成」の善し悪さは、様々な「コミュニティ活動」をすすめるにあたっての要因となっています。

 今回は、人の高齢化を考えるうえで、「コミュニティ」の定義について考えていきたいと思います。

 人と人の1対1の『つながり』の集合体が『コミュニティ』です。そして、二つの意味があります。

 ① 地域を主体とする集合体:一定の地域社会に居住し、共属感情をもつ人々のあつまり

               →物理的な地域を主体とする。

 ② 目的等を共有する集合体:目的や考え方、興味、価値観等が同じ人たちのあつまり

               →必ずしも地域にとらわれない。

 マンションにおける「コミュニティ」は、①と②を併せ持っています。

 同じマンションという「地域」を主体としたコミュニティ(「地域」=「町内会」ではありません。)と、マンションを維持管理、運営していくという「目的」を共有するコミュニティ(「マンション管理組合」)があります。

 『コミュニティの大切さ』は、様々な活動を進めていく上で当然のことです。

 では、「コミュニティ活動」について、その活動の目的、内容、対象、活動の責任領域とともに、主体となる組織と性格などを正しく理解することが重要です。

 なお、「コミュニティ活動」によっては、目的や対象によって主体となる組織が1組織に限定されるものではありません。

 そのことと、組織の性格と役割は別の問題です。

 ・「町内会・自治会」⇒居住する地域の住民組織で加入するしないは自由。

 ・「マンション管理組合⇒区分所有者全員で構成し、加入しない選択はできない。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 区分所有者全員がマンション管理組合の構成員として区分所有法で規定されていて、強制加入です。

 それは区分所有者には二つの権利を有していて、区分所有権というコンクリート(スラブ)に囲まれた空間部分(専有部分)の権利と、当該マンションが存立するための建物、設備及び敷地等(共用部分等)に関し共有持分権があるからです。

 したがって、共用部分等に関し、区分所有者全員による意思決定が必要になってくるからです。

| 2015年7月11日 | カテゴリー コミュニティ 

1 / 212