耐震改修等

【集合住宅 耐震改修は1割】

 

―住民合意づくり難題―

 

 政令指定市と県庁所在地、東京23区の74市区で、自治体の助成で耐震診断をしたマンションなど集合住宅約2千棟のうち8割が耐震不足と判断されたが、耐震工事をしたのは1割だったことが分かった。工事負担の大きさや住民合意の難しさが、補強を遅らせているという。

 耐震不足の建物について自治体は所有者に耐震工事を促しているが、診断後の対応を自治体が把握していた1569棟のうち、耐震工事に着工したのは176棟(11%)だった。

 耐震不足51棟のうち工事実施が2棟だった東京都豊島区は『賃貸マンションはオーナーの一存で決まるが、分譲は所有者が多く、住民の合意形成が難しい』とみる。

 日本マンション学会長の小林秀樹・千葉大学教授(住環境計画)は『耐震診断を受け、防災に積極的なマンションでも1割しか耐震改修をしていないのは深刻。自治体は改修助成の拡充や、管理組合の合意づくりへの働きかけに力を入れるべきだ』と指摘する。

 

 *『災害大国 あすへの備え』は、5回シリーズで掲載します。

| 2014年10月05日 | カテゴリー 耐震改修等 

     【マンションの建替えの円滑化等に関する

        法律の一部を改正する法律について】

 

 現在、我が国のマンションのストック総数は約601万戸(平成25年末現在)であり、そのうち旧耐震基準により建設されたものが約106万戸存在しています。これらの多くは耐震性不足であると考えられ、巨大地震が発生した場合には、甚大な被害が生じることが想定されていることから、これら耐震性不足のマンションの建替え等の促進が喫緊の課題となっています。

 こうした状況の中、マンションの耐震改修については、昨年の『建築物の耐震改修の促進に関する法律』の改正により、決議要件が4分の3以上から過半数に緩和されており、より一層の促進が図られました。一方、マンションの建替えについては、これまで183件、約14,000戸(平成25年4月時点)の実施にとどまっており、巨大地震の発生に備えるためには、建替えについてもより一層促進していく必要があることから、本法の改正に至ったものです。

 改正の概要としては、第一に、耐震性が不足していることについて認定を受けたマンションの区分所有者は、5分の4以上の多数で、マンション及びその敷地を売却する旨の決議を行い、売却に合意した区分所有者は、マンション敷地売却組合を設立してマンション敷地売却を行うことができることとしたこと、第二に、耐震性が不足していることについて認定を受けたマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有し、市街地環境の整備・改善に資するものについて、特定行政庁の許可により容積率規制の緩和ができることとしたことの大きく二つです。

 本改正は、平成26年12月24日から施行することとされました。

| 2014年10月03日 | カテゴリー 耐震改修等