管理組合運営

1週間で廊下がゴミの山に

 賃金が安いのに、精神的にも肉体的にも負担が大きい管理人の仕事。なり手がいないからと放置しているうちに、崩壊寸前にまで至ってしまったマンションがある。

 神奈川県横浜市。中華街からほど近いところにある築40年超のBマンション。コンビニエンスストアや大規模スーパーも揃い、真新しい高級マンションが林立する一帯で、古ぼけた茶色い建物が逆に目立つ。外壁はひび割れてところどころ塗装が剥がれ、バルコニーの手すりの周りもコンクリートが割れ、鉄筋がむき出しになっていた。

 正面のエントランスにまわると、使われなくなった古いテレビや炊飯器などの家電製品が無造作に放置され、「ゴミ屋敷」の様相を呈している。中に足を踏み入れると、廊下の天井の蛍光灯はだいぶ前に切れたのだろう、真っ黒に煤けていた。

 「昔は清掃の行き届いたきれいな建物だったんですけどね。どうしてこうなっちゃたんだか」

 ため息交じりに言うのは、このマンションに住む70代の女性住民だ。

 女性によれば、荒廃が一気に進んだのはおよそ5年前、最上階を所有するオーナー兼管理人の男性が亡くなってからのことだ。

 Bマンションには、各階に缶、ビン、生ゴミの3つのゴミ捨て場が設置され、それを管理人が収集日にゴミ収集場に運ぶルールがあった。

 「それまで管理人さんにすべてお任せしていたので、亡くなって1週間で、廊下があっという間にゴミの山になってしまいました。もう誰も運んでくれないので、自分たちで収集日に直接運ぶことにしたのですが、老体にはキツいものがる」(女性住民)

| 2017年7月21日 | カテゴリー 管理組合運営 

誰でも務まる仕事ではない

 屋上階に行くと、住民の誰かが勝手に置いたのか、古びた食器棚やカーペットが放置されている。周囲には、鳥についばまれところどころ破けたゴミ袋が散乱し、異臭を放っている。

 「粗大ごみの廃棄は自治体への申請が必要なのに、バレないと思って屋上に置いていく人がいるんです。誰のものか特定して注意すればいいんでしょうが、住民が住民を直接注意するのも角が立つのでやりにくい。主体的に住民間の調整をしてくれていた管理人さんのありがたさが今になって身に沁みる」(男性住民)

 管理人がいなくなったことで、もはやコミュニティのルールさえ崩壊してしまったのだ。

 近隣の不動産業者もAマンションの惨状を心配して言う。

 「あそこは売り出し物件も出ていますが、値段を下げても、半年以上買い手がつきません。荒れているから人が寄り付かず、住民が減り、更に荒廃する悪循環に陥っている。お年を召された住民ばかりなので、先を考えると大変でしょう」

 Aマンションのケースは決して特異な例ではない。いま、管理人が消え、後任が見つからずに荒廃するマンションが全国で急増している。

 全国マンション管理組合連合会の会長を務める川上湛永(やすひさ)氏が言う。

 「最大の原因は、これまで管理業務の中心を担ってきたリタイア世代の高齢化。もともと管理業務は肉体的にしんどい仕事のうえ、増加する外国人居住者への対応や、高齢者の介護に近い仕事もあり、精神的な消耗も大きく敬遠される要因になっています」

| 2017年7月19日 | カテゴリー 管理組合運営 

ヒビが入った窓ガラスも放置

 埼玉県川越市。JR川越駅から徒歩20分ほどのところに、築約40年のAマンションがある。

 「正直、身体がしんどいので、ここらでやめさせてもらいます」

 20年以上にわたりこのマンションの管理人を務めていた70代の女性が突然いなくなったのは、この4月のことだった。

 Aマンションの管理組合理事長を務める60代の男性住民が言う。

 「その管理人さんはもともと管理会社から派遣されていたのですが、長年修理や管理を一手に引き受け、住民からの信頼も篤かった。会社を定年退職されたのを機に、管理組合と直接契約し、引き続き務めてもらっていました。それが、昨年あたりから『私も年だし、この仕事はキツイ』と何度か相談を受けていた。しかし、こちらとしてもずっとやってきてもらって、代わりはすぐに見つからない。『せめて、次の人が来るまでお願いします』と慰留していたのですが、3月いっぱいで辞める、という意志は固かった」

 長年、このマンションのすべてを一手に引き受けていた女性管理人、いなくなって初めて、住民たちはその存在の大きさを知ることになる。

 「まず困ったのは、ゴミの処理。自治体の分別は想像以上に厳しく、管理人さんがいなくなったとたん、収集拒否にあってしまった。それまでは問題のありそうなゴミ袋は彼女が一度開けて、再度仕分けして直してくれていたんです」

 回収されないゴミは、うず高く積み上がり、隣家の住民からクレームを受けるほどだった。

 さらに、ゴミをめぐり、住民間のトラブルも勃発した。

 「ウチのマンションはエレベーターがないから、上のほうの階の足が悪い住民のゴミを、管理人さんが代わりに収集場まで運んでくれていたんです。彼女がいなくなってからは、その住民がベランダにゴミを溜め込むようになり、生ゴミのニオイが漂って、隣の部屋の住民との間で言い争いになってしまった」

 風の強い日にヒビが入ったという窓ガラスも、管理人がいなくなってから急に増えたという外壁のスプレーの落書きも、修繕されず、放置されたままになっている。

 「このままではさすがにまずいと思い、仲介業者に相談して、次の管理人の求人を募集してはみたものの、我々が出せる条件じゃまったく応募がありません」

| 2017年7月17日 | カテゴリー 管理組合運営 

管理人はいるのが当たり前

 そう思い込んでいる人ほど、彼らが普段、どれほど面倒事を引き受けてくれているかを知らない。

 いざいなくなったとき、待ち受けているのは絶望的な現実だった。

 廊下は水浸し、共用部にはゴミが散乱して・・・

岡管連から

 週刊現代7月15日号「ドキュメント いま日本中で急増している異常事態 管理人が消えました」に掲載されましたものを、4回シリーズで抜粋したものをアナウンスします。

 どの業種、職種も人手不足の時代になってきています。

 いま、管理員の多くは定年退職者であり、そのうち団塊世代が多数占めています。

 今後、その団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」が高齢者の人手不足としてどの業種、職種にも表面化してくるものと考えられています。

 その典型的な例が、マンションの管理員でしょう。

 優秀な管理員の奪い合い、人件費の上昇など、管理組合としても今から検討すべき時期に来ています。

| 2017年7月15日 | カテゴリー 管理組合運営 

2 外部の専門家の活用

(3)外部専門家の役員就任に伴う制度の整備

 ④監事による監督機能の強化

   監事は、いつでも理事や管理組合の職員に対して業務の報告を求め、または、業務、財産の状況の調査

  をすることができるようにしなければなりません(標準管理規約41条2項)。さらに、これまで監事は

  理事会への出席は任意とされていましたが、監事による監督機能の強化のために、監事は「理事会に出席

  し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。」(標準管理規約41条4項)と規定す

  ることで、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは意見を述べなければならない、とすべ

  きでしょう。

 ⑤役員の報酬

   役員報酬については、これまでも標準管理規約に、必要経費の支払いと併せて報酬を受け取ることがで

  きるという規定がありますが(37条2項)、無報酬の場合が多いことが過去の調査で明らかとなってい

  ます。これは、区分所有者の善意によるところが大きかったためと言えますが、報酬を受け取ることによ

  り、責任と求められる成果を負担に感じて役員就任に消極的になるおそれがあるため無報酬としてきたと

  いう側面もあるようです。

   外部専門家が役員に就任する場合、当該役員に対して必要経費とは別に、理事会での協議・意見交換の

  参画等に伴う負担と、実際の業務の困難性や専門的技能・能力等による寄与などを総合的に考慮して、報

  酬を支払うことが必要になってきます。その際、理事会の議事録の閲覧(標準管理規約53条4項)の活

  用等により、役員の業務の状況を適切に認知・確認することが望ましいでしょう。

                           (著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2017年6月09日 | カテゴリー 管理組合運営 

2 外部の専門家の活用

(3)外部専門家の役員就任に伴う制度の整備

 利益相反取引の防止

   外部専門家の役員就任を可能とした場合、外部の専門家が管理組合の利益を犠牲にして自己または

  第三者の利益を図るおそれが生じます。そこで、役員が、利益相反取引を行おうとする場合には、

  理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるべきでしょう

  (標準管理規約37条の2)。

   この利益相反取引の中には、マンションの大規模修繕工事の施工を個人業者たる理事が管理組合から

  請け負うとか、マンションに係る火災保険の締結について理事が保険募集人(個人の保険代理店)として

  代理を行うなど、管理組合と外部専門家たる理事が直接取引を行う場合はもちろん、さらには、マンショ

  ンの大規模修繕工事の施工を理事が代表取締役を務める工務店が管理組合から請け負う場合や、マンショ

  ンに係る火災保険の締結について、理事が代表取締役を務める保険代理店が代理を行う場合など、直接

  取引を行う関係ではないが、当該取引の実質的な損益が外部専門家たる理事に帰属するような間接取引も

  含まれます。

   同様に、理事会の決議に特別の利害関係を有する(外部専門家たる)理事は、その議決に加わることが

  できない旨を規定すべきでしょう(標準管理規約53条3項)。

   また、管理組合と理事長との利益が相反する事項についても、監事または当該理事長以外の理事が管理

  組合を代表する旨を規定すべきでしょう(標準管理規約38条6項)。

                           (著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2017年6月07日 | カテゴリー 管理組合運営 

2 外部の専門家の活用

(3)外部専門家の役員就任に伴う制度の整備

  ①役員の資格要件の見直し

    従来、管理組合は区分所有者全員で構成される団体ですから、役員の資格は区分所有者に限定される

   と解されてきました。例えば、標準管理規約35条2項では「理事及び監事は、組合員のうちから、総

   会で選任する。」と規定されています。

    しかし、外部専門家を役員等として選任できることにした場合には、管理規約を改めなければなりま

   せん。すなわち、「理事及び監事は、総会で選任する。」として組合員の要件を外し、別途「組合員以

   外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。」というように、選任方

   法について細則で定める旨の規定を置くことが必要でしょう。

  ②欠格要件の導入

    外部専門家を役員に選任することができるようにした場合、役員としての不適格者を確実かつ迅速に

   排除することができるよう欠格条項を規約に定めるほか、細則においても役員の欠格事由を設けるべき

   です。

                           (著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2017年6月05日 | カテゴリー 管理組合運営 

1 はじめに―ガバナンス不全の現状

 高度成長期の頃より大量に供給されてきたマンションは経年に伴い老朽化し、計画的な大規模修繕、耐震性不足による耐震補強、マンションの建替えなど、専門的知識と多額の資金を必要とする難題に直面しつつあります。同時に、区分所有者は次第に高齢化し、それに伴い介護施設に入所したり相続が発生するなどして、賃貸住戸や空室住戸が増え、管理組合役員のなり手が不足(人不足)する他、管理費・修繕積立金の収支状況の悪化(金不足)といった管理困難な状況に陥っています。

2 外部の専門家の活用

(1)相談、助言、指導による支援

   マンションは1つの建物を多くの人が区分所有するため、権利・利用関係が複雑で建物の構造上の技術

  的判断も難しく、マンションを適切に維持、管理していくためには、法律や建築技術等の専門的な知識が

  必要となります。

   そこで、外部専門家の支援を受けることが有効となります。例えば、マンション管理士その他マンショ

  ン管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営やその他マンションの管理に関し

  て相談したり助言、指導その他の援助を求めたりすることです(標準管理規約34条)。

(2)役員、管理者への就任

   外部専門家に相談、助言、指導などの援助を求めるだけでなく、さらに進んで、専門家に直接管理組合

  の運営に携わってもらうことも考えられます。つまり、外部の専門家が管理組合の役員や管理者に就任す

  る方法です。

                           (著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2017年6月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

長持ちへ知恵集め

 京都市右京区の「西京極大門ハイツ」(築41年、190戸)の日曜喫茶は2008年から続く。運営するのはボランティアの住民。マンションに隣接する3階建ての棟の1階で朝食を100円で提供している。3階には絵本を貸し出すミニ図書館があり、住民以外も無料で利用できる。管理組合の佐藤芳雄理事長(66)は「住んでみたいと思われるマンションにして、資産価値を高めたい」と、その狙いを語る。

 約30年前、管理会社に任せて大規模修繕工事をした際、積立金が修繕に必要な額の1割にも満たないことがあった。金融機関の融資でしのいだが、それ以来、人任せはやめようと決めた自主管理に切り替え、管理人や清掃員に住民を雇い、経費を減らした。

 この5年間で約25世帯が入居したが、大半が子育て世帯だ。マンションの価格も、佐藤さんが新築で買った時より約3割上昇した。

 千葉市美浜区の「稲毛海岸三丁目団地」は築49年。768戸の団地は建て替えを諦めて、「築80年」を目指している。昨年の大規模修繕工事では、30~80代の住民約20人が「支援隊」を結成。工事のために必要だった高齢者宅の家具の移動などを手伝い、500万円ほどの経費を削減した。管理組合の久保田博理事長(77)は「高齢者には重労働。住民の団結で負担を減らしたかった」と話す。

 面識のなかった住民同士につながりが芽生える効果もあった。今は買い物やごみ出しを代行する「生活支援隊」の結成を検討中だ。若い世代を呼び込もうと、空室を若者向けに改装する試みも始めた。久保田さんは「幅広い世代が協力し合い、後世に残せるマンションにしたい」と願う。

 築50年以上のマンションは全国に3万戸。10年後は56万戸に増える。建物と住民の「二つの老い」の克服を目指す取り組みは、各地で進みつつある。成功するかは住民の知恵と結束にかかっている。

マンションを後世に残すには

♦住民主体で管理する自覚を持ち、計画を立てて修繕する

♦価値を高めるためのアイデアを出し合う

♦幅広い世代が住みやすいように住民同士が助け合う

NHK「おはようニッポン」(5月13日)で取り上げられた

 京都市右京区の「西京極大門ハイツ」は、NHK「おはようニッポン」で取り上げられました。

 その番組の中で「マンションは住んで初めてマンションであって、住まなくなったマンションはただの粗大ゴミ」であるという専門家の話が印象的でした。

岡管連から

・マンションを購入する場合、『マンションは管理で買え』とよく言われるが、当初から管理が付いている

 わけではなく、管理は住民同士で作り出すものである。

・そのマンション管理の基本は、住民同士のコミュニティにある。

・マンションが『終の棲家』になりつつある中で、住民同士の『お互い様の精神』が必要である。

・管理組合の運営には「井の中の蛙大海を知らず」ではなく、『外部との交流』が欠かせない。

| 2017年5月23日 | カテゴリー 管理組合運営 

行政、押し掛け支援

 朽ちかけたマンションに手を差し伸べたのは、行政だった。

 京都市北区にある築40年超の4階建てマンション。ひびが目立つ踊り場の床は抜け落ちそうで、住民も「スラムのよう」と目を背けてきた。それが2年前、初の大規模修繕工事にこぎつけた。「これで友達を呼べる」。住民に笑顔が戻った

 市は2005年度、築30年以上のマンション95件の管理や劣化状況を調査した。現地を訪ね、聞き取りや目視確認も行った。北区のマンションも「要支援」と判定された物件の一つだった。

 市から要支援物件の経過観察を請け負っているNPO法人「マンションサポートネット」(同市)の堀井文子副理事長らが、北区のマンションを初めて訪れたのは約10年前だった。外壁は剥がれ、インターホンにも反応がない。数日通い、ようやく住民の一人と話せた。何度も訪ねるうちに、立て直しを望む住民の声が高まってきた。堀井さんが「まず管理組合を作りましょう」と呼びかけ、支援が始まった。

 富士通総研経済研究所の米山秀隆主席研究員は「景観の価値を落とす建物があると困る京都市では、マンションの管理不全を防ぐ取り組みは地域も受け入れやすかったのでは」と分析する。

 市の担当者は「個人宅は難しくても、町内会の活動にはどの自治体も支援する。マンションも共用部をうまく管理するための支援だと捉えている」と話す。しかし、同様な取り組みは広がっていない。市の取り組みを視察した名古屋市の担当者は「先進的だと感じたが、予算や私有財産に対する考え方から、同様の支援をするには課題が多い」と話す。

 京都市の調査も簡単ではない。サポートネット理事の谷恒夫さん(54)は「住民を意のままに操りたい質の悪い管理会社や暴力団が絡むマンションには、調査さえ入れない」と話す。

 管理士会の多田さんは今春、支援したマンションを1年ぶりに訪れた。住民からは「今は問題がないので、理事会は開いていない」と聞き、支援の難しさを感じたという。管理不全を防ぐには住民の意識向上が欠かせない

先進自治体の取り組みは

♦現地調査で老朽化したマンションの管理実態を把握する

♦私有財産支援への懸念には「まちづくり支援と同じ」と考える

♦必要性を説明しやすい物件から、段階的に支援対象を広げていく

岡管連から

・役員が1年で交代するため、一つ問題をのどぼと過ぎれば次の役員は、意識が薄れて関心も薄れる傾向に

 ある。

・行政は『民民の問題』にかかわらないところがある。

・マンションで生活するということはいずれ『マンションの二つの老い』という問題が現れる。

・特に、住民が長くマンションで生活すれば、『医療・健康・福祉の面』で、行政がかかわらざるを得ない

 状況が現れてくる。

・マンション内に目を向ければ、このような状況に置かれているにもかかわらず、住民は『無関心・コミュ

 ニティのなさ』がうかがえる。

| 2017年5月21日 | カテゴリー 管理組合運営 

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