管理基礎講座

【国交省令で定める図書等】

 マンション管理適正化法第103条第1項の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げるもので、工事が完了した時点の同項の建物及びその付属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする。

 一 付近見取図

 二 配置図

 三 仕様書(仕上げ表を含む。)

 四 各階平面図

 五 二面以上の立面図

 六 断面図又は矩形図

 七 基礎伏図

 八 各階床伏図

 九 小屋伏図

 十 構造詳細図

 十一 構造計算書

 なお、そのほかとして、一般社団法人マンション管理業協会が交付されるのが望ましいとしている図書は、以下のとおりです。

1 設計図書関係書類

   数量調書、施工地積測量図

2 特定行政庁関係書類

   建築確認申請書(建物・昇降機)、建築確認通知書(建物・昇降機)、検査済証、

   給水設備申請書類等、排水設備申請書類等 他

3 消防関係書類

   防火対象物設置届、防災対象物使用開始届 他

4 機械設備施設竣工調査、取扱説明書

5 専有部分機器取扱説明書

6 専有・共用機器類完成図書

7 近隣電波障害対策工事関係書類(近隣協定書、覚書等)

8 売買契約書関係書類

   売買契約書、重要事項説明書、管理規約原本等(承諾書等(管理委託契約書類

   を含む。)を綴じたもの)、販売図面、パンフレット・チラシ、覚書、

   アフターサービス基準(瑕疵担保責任を含む。)、住宅性能評価基準 他

9 その他

   電気室借室契約書、電柱等土地使用契約書(電力会社、NTT)、

   大規模建築廃棄物保管場所届出書、建築協定書、備品リスト 他

 

| 2014年9月25日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【責任のあいまいさ】

 問題は、最後に残った①の新築分譲マンション売買契約である。普通、その売買契約書等は、マンション購入者の金庫等に大事に保管され、特段の事情等がない限り、当該契約書等は、日の目を見ることはほとんどないはずである。

 ところが、ひとたびマンションに瑕疵があることが分かれば、当該契約書等の存在が重要になってくる。当該契約書等には、『瑕疵担保責任に関する保証措置』を記載しているものが少なくないのだ。また、この場合、『設計図書等』も必要になってくる。

 瑕疵担保責任の保証措置の期間であっても、販売会社等が倒産すれば、あるいは当該保証期間の期間が過ぎた場合であっても、特に、以前に取り上げた『建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵』が現実化するようであれば、裁判例からも、施工会社等にも不法行為責任が求められてくる。

 それが分譲マンションの場合、どうも現場では、『その責任があいまい』になっている傾向にある。

 

 ・販売会社:売主(デベロッパー等) ・不動産会社:仲介業 

 ・設計監理:1級建築事務所 ・施工会社:工事の請負 

 ・管理会社:マンションの管理(見守り等)・管理組合:設計図書等の管理

 ・組合員:区分所有者/買主(マンションオーナーの一人)

 

 このようなマンションで生活するうえで、建物・敷地などの共用部分等において、『その責任のあいまいさ』に加えて、そこで住んでいる居住者はどうであろうか。

 分譲マンションの新築入居時に、突然に、不特定の50戸程度の世帯が集合し、マンション住民となり、ひとつの『ミニ自治体(管理組合)』を作るのだが、そこにはすぐに『コミュニティ』が作れないのが実態であろう。

                     以上で、このシリーズは終わる。

| 2014年8月25日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【売買契約時の書類】

 ところで、新築分譲マンションの購入予定者が契約する場合どうであろうか。購入予定者が主に行う契約等は、以下のとおりである。

 

 ① 新築分譲マンション売買契約(登記委任等を含む。)

 ② 管理規約等への同意

 ③ 管理委託契約への同意

 ④ ローン契約(担保設定登記委任等を含む。)

 

 マンションを購入する場合、これら①から④に関する書類が作成されるのが、一般的である。

 ①は、主に売買契約時の所有権移転に伴う履行問題ですが、②から④は、主にマンション売買後に関する履行問題となってくる。

 まず、②から④を見ていこう。

 ②及び③については、区分所有法上、マンション購入者(オーナー)が複数集まれば団体(管理組合)を構成することになるのだが、新築分譲マンションの場合、入居時において管理組合の設立総会が開催されない場合が多いので、総会の同意に代わるものとして書面総会とし、マンション購入予定者が全員署名・押印すれば成立する。

 ②の管理規約等は、マンション購入予定者等が本来、一定のルールとして守るべき遵守義務があるのだが、ほとんど目を通していないのが実態であろう。

 ③の管理委託契約は、管理組合と管理会社とのマンション管理についての委任契約であるが、マンション購入予定者は、マンション管理に関心が薄いので、管理会社に任せっきりであり、また契約の内容についてあまり知らないのが実態であろう。

 ④のローン契約は、金融機関との金銭消費貸借に関する履行問題で、契約期間まで毎月一定額の支払い義務があると同時に、新築分譲マンションはその担保として、抵当権が設定されているのが一般的である。

 ①の売買契約については、次回に続く。

| 2014年8月23日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【青田売り・青田買いの結果】

 新築分譲マンションを購入しようとする場合、よく見受けられるのが、テレビのCMや新聞のチラシ等で工事着手前あるいは工事着手後に販売会社(売主)等がPR活動を行い、あらかじめ販売会社等が当該モデルルームの展示場を作り、そこに購入希望者を集い案内し、説明、勧誘、事前申し込み、及び契約等を行うことがよくある。

 さらに場合によっては、新築分譲マンションの部屋の位置・間取り等によっては、抽選あるいは先着順である。

これがいわゆる『マンションの青田売り、青田買い』と言われるゆえんである。

 戸建ての新築住宅の場合、各ハウスメーカー合同の展示場を作り、そこに各ハウスメーカーの新築住宅が展示されているので、その場で建物自体を確認でき、他社と比較検討等ができることが多い。

 新築分譲マンションでよく説明等に使われるのが、販売会社等が作成したまだ建物の形のない状態でのパンフレットやチラシなどであるが、それらの写真等は、マンション内部のモデル写真や建物が完成した場合のマンション全体風景のバーチャルな写真であろう。

 このようにまだ建物の形のない状況の中で、不特定多数の購入希望者がまるで競うように、通販やネットなどで物を買うような感覚で、人生一度限りの大きな買い物の契約等をするのであろうか。

 岡山のマンション1棟の平均販売戸数は50戸程度であるが、マンション全体では150人程度の人々が同じ屋根の下で、ある時期から共同生活を送ることになるのである。つまり、この人たちがマンション居住者となるのだが、言葉を換えれば同時に、 『運命共同体』になるともいえるだろう。

                   次回は、『売買契約時の書類』についてです。

| 2014年8月21日 | カテゴリー 管理基礎講座 

 機械式駐車場のピット式の場合、集中豪雨などの際に地下のピットへの浸水に注意しなければならない。

 自動車の浸水被害にあった事例は、枚挙にいとまがない。

 地下のピットに設置された排水ポンプの容量を超える雨水が流入すると、その駐車ピットは水で満たされてします。

 また、排水ポンプが正常に機能しなかった場合にも、同様の事態となる。

 管理組合としては、排水ポンプをきちんと点検しておくことも重要ですし、排水管、排水溝などについてもゴミ、枯れ葉などにより、雨水の流れが悪いかなど、確認しておくことも欠かせない。

 なお、集中豪雨の際の自動車浸水事故は通常、管理組合が加入しているマンション保険(施設賠償責任保険を含む。)では補償されないので、注意する必要がある。唯一有効なのは、自動車所有者が加入する車両保険です。

 機械式駐車場本体の通常保守は、機械式駐車設備メーカーや専門業者が行うが、排水ポンプの点検は、マンションの設備点検の範囲内で実施することとなる。

| 2014年7月31日 | カテゴリー 管理基礎講座 

 都市部での機械式(立体)駐車場の利用者の減少は、管理組合の運営上大きな問題となってきている。その主な要因は、都市部における入居時のマンションの駐車場確保の必要性と、その後のマンション居住者の高齢化に伴う車離れである。

 マンション販売業者は都市部において、販売政策上、駐車場が多くある方が売りやすいため、過度に機械式駐車場を設置してきた。それがここ最近、機械式駐車場は、維持管理に多額の費用がかかり、長期修繕計画にも影響が大きいとの認識が広がり、自走式の駐車場に変更する管理組合が出てきた。

 一方、マンションの資産でもある駐車場設備の廃止は、資産価値が落ちるという側面もあり、特に駐車場契約者がいる場合などは、その対策も必要になってくる。

 また、この空き駐車場の問題を管理組合の運営上の観点から見ると、大きな支障をきたすことにもつながる。つまり、ほとんどの管理組合では、駐車場収入は管理費会計に組み入れられ、管理組合によっては、管理費予算のうち約半分程度は駐車場収入が占め、駐車場収入がなければ管理組合の予算が組めないところもある。

 それに加えてもう一つの大きな問題として、機械式駐車場の場合、そのメンテナンス等の維持管理費用が多大にかかることにある。ところが、その維持管理費用の負担の出所はというと、意外に知られていないが『修繕積立金会計』からである。さらに言えば、機械式駐車場には、長期修繕計画に『更新時期』も設定されており、これではますます修繕積立金が枯渇してくるであろう。

【管理組合へのアドバイス】

 特に機械式駐車場がある管理組合の場合、上記で述べたようにその維持管理費用及び更新費用の負担をどこで賄うかを考える必要がある。

 駐車場に関する会計処理は、現状、その収入は管理費会計に繰り入れ、その支出は修繕積立金会計からであり、収入と支出の間に一貫性(関連性)がないのが、管理組合では一般的であろう。それでは将来的な見地から言えば、適正な管理組合の運営ができない。

 本来あるべき姿として、駐車場会計は、管理費会計及び修繕積立金会計から独立して、『区分経理』しなければならない。そうすることで次のことが見えてくるだろう。

 例えば、空き駐車場問題をそのまま放置してよいのか、その対策をとるべきか、または機械式駐車場そのものをどうするか、管理費会計及び修繕積立金会計との関係はどうあるべきかなど、管理組合としても真剣に取り組まざるを得ないだろう。

 管理組合が受け身でいると、時間が経過すればするほど事態は悪化していくであろう。

 

| 2014年7月29日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【旧区分所有者が有する債務】

 区分所有権の売買等に伴い、特定承継人が旧区分所有者の有する債務の支払義務を負うかどうかの問題になる例として、区分所有法上の規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権で、その具体例は各組合員に対する管理組合の債権、つまり、規約又は総会の決議で各組合員が負担すべき管理費等や大規模修繕のために一時負担金等について定めた場合のこれらの支払請求権などです。

 このほか規約で、区分所有者の義務違反行為について定めた場合の違約金支払請求権もこれに含まれます。

 

【専有部分内の水道料金の債務】

 マンションの水道料金については、専有部分及び共用部分を含めた水道料を自治体の水道局と管理組合とが大口契約を締結しているところがよく見受けられます。これは、個別契約と比べて大口契約の方が水道料が低く抑えられるのと、水道局の方も個別契約に比べて、大幅に事務負担が抑えられることにあります。

 しかし、この大口契約は、本当に管理組合にとって、メリットがあるのでしょうか?

1 水道局との大口契約 

 ・大口契約の水道量には、共用部分の水道量と専有部分の水道量からなり、水道局には、全体の大口

  契約の水道料金を払っている。

 ・各戸のマンションには、管理組合が各戸の水道メーターから按分計算した金額を請求している。

  したがってよくあるのが、管理組合の管理費会計の勘定科目として、水道料が収支の両方に存在し

 ている。これも不思議である。

  本来、専有部分の水道料金の徴収は、共用部分の管理から生じたものではなく、管理組合の業務で

 はない。その分、管理組合の事務負担となっている。

2 区分所有者が水道料金を滞納した場合

  そこで、区分所有者の一人が水道料金を滞納した場合はどうだろうか?

(1)管理組合が負担

  その場合、滞納者の水道料金は管理組合が負担することになるが、だからと言って、滞納者の水道

 をストップすることは、判例上できない。

  また、水道料金の徴収について、規約、細則等に明記していない場合、裁判を提起しても敗訴する

 可能性がある。

(2)水道料金の滞納額は特定承継人に承継されるのか?

  判例では、『専有部分の水道料金は、共用部分の管理とは直接関係がなく、区分所有者全体に影響

 を及ぼすものではないから、特段の事情のない限り、規約で定め得る債権の範囲に含まれない。

 と、特定承継人の責任は否定されている

| 2014年6月15日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【管理組合の対応】

 では、現在すでに屋上に携帯電話基地局を設置させて賃貸収入を得ているにもかかわらず、税務申告及び納税を行っていない管理組合はどのような対応をとるべきでしょうか。

 まずは、管理会社や公認会計士・税理士に相談することはもちろんですが、ここで注意しなければいけないのは、『申告・納税をしないという選択肢はない』ということです。すでに収入を得てしまっている以上、納税の義務は発生しています。これは収入金額の多寡には関係ありません。

 さらに、法人税の時効は原則5年(脱税の場合は7年)ですので、過去5年間にさかのぼって申告する必要があります。この時課税されるのは法人税、法人住民税、法人事業税ですが、申告期限を超えての申告となりますので、さらに無申告加算税、延滞税が課税されます。また、基準期間(前々事業年度)の賃貸収入の合計が年間1,000万円を超えていれば消費税及び地方消費税の対象になります。

 なお、税務調査があって指摘されたらその時にすればいいとか、管理組合に税務調査が入ったという話など聞いたことがないから大丈夫だろうといったことをお考えの向きもあるかもしれませんが、携帯通信各社は『支払調書』というものを税務当局に提出しています

 これには基地局の賃借料をいつ、どこに、誰に、いくら支払ったかということが記載されています。すなわち、税務当局はどこの管理組合にいくら賃借料が支払われているかということをすべて把握しており、当然その管理組合が税務申告をしているかどうかも調べれば即座にわかる状況にあるということです。逆に、今税務調査が来ないのは、周知を図っている期間であって、自主的に申告することを待ってくれていると考えるべきです。

 本来の申告期限(通常は事業年度終了の日から2カ月以内)を超えて申告した場合は、無申告加算税というペナルティが課されます。税務調査を受ける前に自主的に申告すれば納税額の5%が上乗せされるだけで済みますが、税務調査で指摘された場合は納税額50万円までが15%、50万を超える部分については20%となります。また、納付期限までに納付されない場合には、原則として法律で定められた期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。

 管理組合にとっては非常に大きな支出になりますが、かといって申告せず税務調査で指摘された場合の理事長はじめ役員の責任の問題といったことも考慮の上で、速やかに申告・納税を行うことをお勧めいたします。

               (著)小川公認会計士事務所 公認会計士 小川 聡

(岡管連から)

 管理組合の携帯電話基地局収入の『税務申告・納税義務』に関して、2回にわたり掲載しました。

 税務の問題は、一見すると管理組合には関係ないと考えられますが、契約等により第三者との間で取引を行い、その結果として対価を受け取る場合、税務処理を行う必要性が出てきます。

 税務の問題は携帯電話基地局収入に限らず、例えばマンションの屋上に、今はやりのソーラーを設置し、『太陽光発電」』で得た電力を電力会社に売電した場合も同様であります。

 税務処理に当たって、管理組合の経理も適正、かつ透明に行う必要があります。その場合、管理組合としては、以下の点に配慮を要するでしょう。

① 事業収益と非事業収益とに分ける。

② 非事業収益については、『管理費会計』、『積立金会計』、「その他駐車場会計」の

  区分経理を行う。

③ ①及び②について、管理規約等に明記する。

  特に事業収益については、税務処理について明記し、その税務処理後の収益を

  どのように処理するかを明記する。

 携帯電話基地局にしろ、ソーラー設備にしろ、外部から見えるものです。税務当局にも目につきやすく、かつ①~③を行っていなかった場合、思わぬ納税を課される場合もあることも付け加えておきます。

| 2014年1月15日 | カテゴリー 管理基礎講座 

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