管理基礎講座

【難しい合意形成】

 マンションで問題や課題が生じた際は、住民の一人ひとりがコミュニティーの一員として意思決定に参画する仕組みになっています。

 ただ、この民主主義を成立させることは簡単ではありません。

 マンションを購入する人の中には「一戸建てのような近所づきあいに束縛されずに生活したい」とプライバシーを重視し、コミュニティーの活動には無関心な人がいます。

 そんな住民の割合が多いと、重要な議案を総会で決めたくても参加が得られず、定足数に満たないため、総会が成立しなくなる。

 参加を拒まれれば民主主義は崩壊してしまいます。

 さらにマンションにも高齢化の波が押し寄せています。

 最近では「終のすみか」としてマンションに住み続けるスタイルが都心部で広がってきています。

 管理会社の知人に聞くと、懸念されるには、一部の高齢者の間に「自分の代だけで住めればいい」という発想の下、大規模修繕などの費用負担を少なくしようとするそうです。

 もし住民同士の対立が深刻化し、大規模修繕などの課題で合意形成が難しくなれば、マンションは機能不全に陥ります。

 その結果、「ここに住む続ければ資産は劣化するばかりだ」と感じた、

 意識の高い人から売却して脱出する動きが加速しかねません。

 その先に待ち受けているのはマンションのスラム化です。

                                 不動産コンサルタント 牧野 知弘

| 2016年1月11日 | カテゴリー 管理基礎講座 

「私権」への固執乗り越えよ

 マンションを選ぶとき、専有部分の部屋の間取りやデザインなどについ目を向けがちです。

 しかしマンションを買うことの本質は、管理組合に代表されるマンションの「コミュニティー」への参加を条件に、専有部分を自分が所有するということなのです。

 それが一戸建てとの大きな違いです。

 一般的にマンションでは、大規模修繕などの重要な意思決定について、管理組合が中心となって住民の合意形成を行い、最終的には総会で住民同士が話し合って多数決で決議します。

 管理会社は、あくまでも管理組合から委託を受けて業務を行う存在にすぎません。

 住民それぞれの価値観や考え方が微妙に食い違ったとしても、自我を抑え、理性的に話し合いを重ねて合意点を見出していくわけです。

 そのプロセスは、国や地方自治体における民主主義のあり方に似ています。

 いずれも話し合いを通してルールを定め、コミュニティーの維持を図っています。

                                 不動産コンサルタント 牧野 知弘

| 2016年1月09日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【岡山県は11月18日 発送】

 国民や企業などに番号を割り振るマイナンバー制度で国税庁は、企業や地方自治体など計約440万団体に付与される「法人番号」の通知日程を発表した。

 法人番号は企業や国の機関のほか、全国のすべての地方自治体に付与される。

 来年1月以降に利用が始まり、法人税の確定申告などでの番号記入が義務化される。

 国の機関や地方自治体、登記のない法人、法人格のない団体には、給与の支払情報などを基に国税庁が独自に付番する。

 個人番号(マイナンバー)とは異なり、法人格がなく公表を望まない団体以外は、番号が公表され、10月5日に開設される『国税庁法人番号公表サイト』で公表日以降に閲覧できる。

 通知は11月25日までかけてエリアごとに順次発送される。岡山県、広島県は11月18日発送、20日公表。香川県は25日発送、27日公表。

 登記のない法人と法人格のない団体は、全国一斉に11月13日に発送。登記のない法人は同17日に公表、法人格のない団体は同意のある団体から順次公表される。

(注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 多くのマンション管理組合の場合、法人格を持たない任意団体であり、かつ管理会社に一括委託していることもあり、管理組合に法人番号が付与されることを知らなかったり、無関心であったりするのではないかと思われます。

 特に、契約締結にあたり大きな金額が動く場合、その取引に当たって、お互いに番号を通知することが考えられます。

 管理組合も法人番号の取扱いについて、検討していく必要が出てくるでしょう。

| 2015年11月07日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【点検と計画修繕への取組、長期修繕計画の作成等】

5 長期修繕計画の作成

  マンションに使用されている建築材料や設備機器は、それぞれに耐用年数が異なり、また、傷み方にも

 差異が生じるため、ばらついている修繕時期や周期をできるだけ集約することで経済性を高めたり、居住者

 への生活障害を少なくしたり、効率的に計画的な修繕を実行していくためには『長期修繕計画』が必要に

 なります。

 ① 長期修繕計画は計画修繕実施の指針

   長期修繕計画は概ね20年~30年程度の期間を対象として、外壁などの大規模修繕工事や屋上防水

  工事、鉄部塗装工事、給水管・排水管改修工事など比較的多額な費用が必要となる修繕工事を、いつの

  時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するものです。

   計画修繕を実行していくための資金計画を検討し、修繕積立金の額を決定する根拠となります。

   外壁の大規模修繕工事は12年程度の周期で実施するのが一般化していますが、実際に工事が必要と

  なる時期はマンション個々の条件や劣化の進行度合いにより異なります。

   特に、最近の仕上げ材や防水材は耐久性が以前に比べて向上していますし、給水管や排水管などの

  配管材も大変耐久性の高い材質のものが使用さています。その建物の使用や状況に即した修繕時期の検討

  が必要になります。

   マンション個々の状況に応じた自前のものとするためにも、管理組合が主体となって長期修繕計画を

  作成することが大切です。

   管理組合が主体となり取り組むからこそ、さまざまな考え方を持つ所有者間の合意が形成され、計画

  修繕の円滑な実行につながるものと思われます。

 ② 長期修繕計画の定期的な見直し

   長期修繕計画は固定的なものではなく、一度作成すれば終わりというものではありません。

   技術の進歩による新たな修繕や改修方法が開発され普及することもあり得ます。

   経済情報の変化による物価の変動や計画外の思わぬ事態が進行していないかを考慮して、一定の時期に

  見直すことが必要です。

   予定された修繕時期が近づいたら調査診断を行い、長期修繕計画で予定されている修繕工事の要否

  や範囲などについて十分に検討する必要があります。

6 設計図書や修繕履歴などの保管・整理

  計画修繕の基本となる長期修繕計画の作成や見直しには、建物や設備の図面が必要となります。

  また、過去の修繕履歴や定期点検、日常保守の記録などを保管し整理しておくことも、長期修繕計画や

 修繕実施前の調査診断の精度を高めることにもつながります。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一

                        (注)下線は、こちら側で記載

(岡管連から)

 概ね5年程度に一度、建物(劣化)診断等を行い、それをベースにして、長期修繕計画を見直すことをお勧めします。

 修繕記録等の保管については、マンション管理センターの『マンションみらいネット』をお勧めいたします。

| 2015年6月15日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【点検と計画修繕への取組、長期修繕計画の作成等】

3 管理組合による自主点検

  専門家や管理会社に委託して行う法定点検や保守契約による点検以外に、管理組合が任意で実施する建物や設備の点検のことを、ここでは『自主点検』とします。

  マンションの管理主体はあくまでも管理組合です。

  専門的な判断までは必要ではなく、快適な生活を送るためには、自身が生活している建物や設備に関心を持ち、建物や設備に対する適正な維持管理が必要であることの認識を高めることが大切です。

  管理組合が行う自主点検では、新旧の理事会役員の交代時に建物全体を巡回してチェックをしたり、専門家から点検の仕方やポイントについての説明を受けながら、劣化事象などについての知識を深めたりします。

  自主点検の実施に際しては、管理組合のイベントとして企画して多くの組合員の参加を得るようにすれば、居住者間のコミュニケーションを図る有用な機会になると思われます。、

  なお、管理組合による自主点検により何らかの異常が見つかった場合には、応急処置や詳細な調査・診断の要否について意見交換し、必要に応じて専門家などに相談してアドバイスを受けることが望まれます。

4 計画修繕への取組

  建築材料や設備機器にはそれぞれに耐用年数がありますが、適切な時期にきちんとした手入れをすることで長持ちさせることができます。

  その逆に、適切な時期での手入れを怠ると、劣化を早めてしまい思わぬ事故や不具合の発生を招いてしまいます。

  建物や設備機器などの耐用年数を考慮し、一定の時期(周期)に計画的に修繕していくことを『計画修繕』といいますが、事故や不具合の発生を未然に防止し、安全で快適な住環境を維持するためにも、計画的な修繕に取り組む必要があるといえます。

                      (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥津 健一

                      (注)下線は、こちら側で記載

(岡管連から)

 自主点検を管理組合のイベントとして行う場合、『マンション探検隊』として住民の公募を募り、楽しく参加できるように工夫することも必要です。

 マンション探検隊の後は、皆さんで簡単な食事会も合わせて行えば、有意義なものとなるでしょう。

 『自主点検の継続』が、計画修繕のベースにもつながるのと、引いては『建物(劣化)診断』の必要性にもつながるものと考えています。

| 2015年6月13日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【点検と計画修繕への取組、長期修繕計画の作成等】

1 建物の適正な維持管理の主体は管理組合

  マンションの管理組合はさまざまな考え方を持つ複数の区分所有者で構成されていて、建物や設備は、

 各区分所有者が管理する「専有部分」と、区分所有者の全員または一部が管理しなければならない「共用

 部分」に分かれます。

  マンションの維持管理においては、専有部分のように各所有者がそれぞれに注意や配慮をしなければ

 ならない事項もありますが、共用部分については、定期的な点検や清掃などにより維持管理しなければ

 ならないもの、計画的に修繕を実施しなければならないものなどが多く、これらのことに、管理組合は

 主体的に取り組んで行かなければなりません。

2 日常点検・定期点検

  建物や設備の日常的あるいは定期的な点検は、マンションの健康診断ということになります。

  異常を早期に発見して事故や不具合の発生に備えたり、万一の時の被害を最小限に留めるためにも、

 日常的あるいは定期的な点検を行うことは大切なことといえます。

  例えば、共用廊下や階段の床を仕上げているシートなどの部分的なはがれは、早期のうちに処置すること

 で大きく広がっていくのを防止できます。

  外壁の落下事故は決して少なくないことではありません。特に、人が通行する部分に面する箇所では、

 外壁や屋上、手すり壁などに生じているひび割れなどの変化に注意が必要です。

  なお、建物の外観上の点検では、外壁や屋上などを外からチェックして、異常や劣化箇所を早期に発見

 することが大切です。

  日常的な点検も重要ですが、毎日見ているとかえって変化に気が付かないこともありますので、一定期間

 ごとに継続して点検することが望まれます。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一

(岡管連から)

 建物等の維持管理については特に、人の生命財産等に危険が及ぶ恐れがある場合には、早急に対応する必要があります。

 建物等の維持管理を放置していたため、重大な事故等が発生した場合、管理組合の責任はもとより、その組合の構成員であります全区分所有者の責任と負担が伴うことになります。

 決して他人事では済ますことはできませんし、当該マンションの資産価値を棄損することにもつながります。

 このような管理組合はある意味、『管理不全のマンション』ともいえるかもしれません。

| 2015年6月11日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【修繕積立金のアドバイス】

 良心的な管理会社では、分譲1年後ぐらいに管理組合ができた時点で事情を説明して値上げのアドバイスを行っています。

 重要事項説明書に『数年後に値上げされる』と書いてある場合がありますが、値上げを決めるのはあくまでも管理組合であって販売会社ではありませんので、値上げへの合意形成は分譲後早い時期に行う必要があります。

 (国土交通省が発表している『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』に基づき、『修繕積立金の額の目安』を確認することで)今の修繕積立金額でいけば、修繕工事費が賄えるのか、賄えないのかといったことを知っておくことは重要なことだと思います。

 そういう意味から専門家に適切なアドバイスを受けることで、『修繕工事費が足りない』といったマンションが少なくなりますし、マンション管理組合の理事の頭痛の種が減ることになります。

(岡管連から)

 今後、年金生活者が増えていく中で、社会的インフラ整備のひとつとして、マンションの維持管理に対する支援等も必要になってきています。

 『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』については、別途、あらためてお伝えする予定です。

 (注)カッコ書きは、こちら側で記載しました。

| 2015年3月15日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【マンションの修繕積立金の目安を試算する】

マンション特有のコストは、ボディーブローのようにじわじわと家計に響いてきます。

マンション特有のコストのうち、修繕積立金は、購入後のコストをできるだけ安く見えるように、可能な限り低く抑えているケースがほとんどです。

修繕積立金の積立方法は、長期修繕計画で計画された修繕工事費総額を、計画期間中に均等に積み立てる方式(『均等積立方式』)と、当初の積立金を抑え段階的に積立金を値上げする方式(『段階増額積立方式』)があります。

均等積立方式は

将来にわたり定額負担として設定するため、将来の増額を組み込んでおらず、安定的な修繕積立金の積立てができます。

1戸当たりの修繕積立金額は、築後30年間に必要な修繕工事費の1戸当たりの総額を360カ月で割って算出します。

したがって、月々の修繕積立金額は一定となります。

ただし、この場合でも長期修繕計画の見直しによる値上げが発生することはあります。

段階増額積立方式は

修繕資金需要に応じて積立金を徴収するもので、当初の負担額は小さく、均等積立方式に比較して少ない金額となりますので、新築マンションの大半がこの段階増額積立方式をとっています。

1戸当たりの修繕積立金額は、築後30年間に必要な修繕工事費の1戸当たりの総額から、購入時に徴収する修繕積立一時金を引いた残額に対して当初の修繕積立金額を決め、その後一定期間ごとに値上げする金額をあらかじめ決めます。

したがって、購入当初の修繕積立金額は均等積立方式に比べて少なくできますが、計画どおりに増額しようとする際に、値上げの合意ができないと修繕積立金が不足するといった事態が発生します。

こうしたことを背景に、平成23年4月に国土交通省が『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』を発表しています。

(岡管連から)

マンションの修繕積立金に関するガイドライン』については、別途、お伝えする予定です。

| 2015年3月13日 | カテゴリー 管理基礎講座 

 【ある相談から】

「住んでいる分譲マンションの大規模修繕工事が始まりますが、『今回の工事は積立金で賄えるけど、次回は足りなくなる』と管理会社の担当者が言っている。結構高い積立金を支払っているのに、こんなことってあるのですかね」

という相談に対し、

私が「買った時のままの修繕積立金なら当然、足りなくなる」というと、「なぜですか?」と尋ねられると、「修繕積立金が高いと売れにくいから」と答えた。

こうした問答は、今も各地で繰り広げられていると思います。

(そのような既存の分譲マンションの維持管理状況において)新築マンションの住宅ローンについては、販売業者との提携融資が一般的であり、販売会社から提供される購入者の情報を基にローン審査を行い、購入者に会うのはローン契約締結時というケースが多く、そうした状況下では、管理費や修繕積立金、修繕積立一時金(3年から5年程度分の一括金)などのマンション特有のコストを考慮して返済計画を組むといったアドバイスができていない。

なぜなら、すでに購入を決めているローン申込者にはそうしたことは二の次であり、ローンの諾否のみに関心があるからです。

(岡管連から)

分譲マンション特有のコストのひとつに、将来の定期修繕(概ね12年ごと)に備えた『修繕積立金』があります。

購入時の当初月額から5年程度経過すると、値上がりすることが多く、トラブルとなるケースが多々あります。

ここにこの回を含めた3回シリーズで、トラブルを未然に防止する金融アドバイスをお伝えする予定です。

(注)カッコ書きは、こちらで記載しました。

| 2015年3月11日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【名簿作成時の留意点】

1 プライバシーの保護について

個人情報保護法の施行に伴って、個人情報保護やプライバシー保護の認識がさらに高まっていることから、管理組合においても、法の趣旨に沿って、組合員、居住者等に属する個人情報を慎重かつ適正に取り扱う必要があります。

特に、パソコン内に保管したデータがインターネットを介して外部に漏えいしたりすることがないように、名簿に係わるデータが保管されたパソコンはインターネットとは隔離された状態を保っておくことが望まれます。

2 災害時等への備えとして

災害時においては、災害対策基本法第49条の11第3項により、災害が発生したかその恐れがある場合、要援護者の生命、身体、財産を保護する必要がある場合で本人の同意を得ることが困難であるときは、これを得ないで避難支援等関係者等に名簿情報を提供する必要が生ずることも考えられ、本人の同意がない場合であっても、『要援護者名簿』が人の生命・財産を維持していくために活用されることがあります。

逆に言えば、そのような緊急時を除いては不用意に閲覧したり持ち出したりされることがないように、厳重な管理が必要と考えなくてはいけないと思います。

3 名簿細則の策定に向けて

改めてルール化することで、管理組合内での名簿の意義づけや情報の取扱いについての認識の共通化にもつながりますし、所有者や居住者(占有者)が変更になった場合にもルールを明示することで、安心して名簿作成に協力が得られるようになるのではないでしょうか。

(岡管連から)

マンション管理センターから近日中に、『マンション管理組合で作成する名簿の取扱いに関する細則について』の書籍が発刊される予定です。

| 2015年2月05日 | カテゴリー 管理基礎講座 

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