滞納管理費等問題

 管理組合の運営にとって、管理費等の滞納問題は、予算を組んだり、業務執行等するうえで、大きな障害になります。

 特に、滞納者に次の3点の問題が生じた場合、管理組合自体で対応せざるを得ません。管理会社は、管理委託契約上、一定程度しか対応できないと考えられます。

 

1 滞納者が区分所有権を譲渡した場合

2 滞納者が破産等した場合

3 滞納者が死亡した場合

 

 1については、管理組合として、滞納管理費等に関し、特定承継人(注1)への請求が問題となってくる。なお、最高裁判所平成16年4月23日の判決で『管理費等の時効は5年』ということが確定しています。滞納管理費等を放置していると、5年を超える管理費等は、取り戻せなくなる恐れがあります。このことは、その5年を超える管理費等を他の区分所有者が負担と責任を負うことを意味しています。

 2については、金融機関等がマンションのローン残高に対して、抵当権に基づいて裁判所に競売を申し立てる場合が一般的であり、管理組合として、滞納管理費等に関し、特定承継人への請求が問題となってくる。但し、この場合も、1の時効を考慮する必要がある。

 3については、被相続人(滞納者)の相続の問題が生じてきて、管理組合として、滞納管理費等に関し、包括承継人(注2)への請求が問題となってくる。但し、この場合も、1の時効を考慮する必要がある。

(注1)特定承継人とは

 売買、贈与等の特定の原因に基づいて区分所有権を承継取得した者をいい、強制執行や抵当権の実行等による売却を原因として区分所有権を承継取得した者も含まれる。

(注2)包括承継人とは

 原則として死亡した区分所有者の権利義務を一括して承継取得する者をいう。

 

| 2014年5月15日 | カテゴリー 滞納管理費等問題 

返済滞ると競売で人手に

 銀行から住宅ローンを借りるときは、マイホームを「担保」として差し出します。ローンを順調に返していければよいのですが、返済が滞ると銀行は没収して売り払い、ローンが焦げ付いた分を穴埋めしようとします。

 売却方法のひとつに、「不動産競売」があります。持ち主の意向に関係なく裁判所で入札にかけ、一番高い値をつけた人に売り払います。

 裁判所が競売を認めると、裁判所の執行官と不動産の評価人が家までやってきて、各部屋の写真を撮ったり、だれが住んでいるのかや権利関係、不具合のあるなしなどを聞かれたりします。

 バブル崩壊後は土地の値下がりが続いたため、最近は住宅ローンの残高よりも担保に差し出したマイホームの価値が低くなりがちです(オーバーローン)。家を売っても借金が残ってしまうので、返済が滞るととたんに身動きが取れなくなる人が多くなりました

 2013年には全国で約4万6千件の競売がありましたが、一戸建てとマンションで計約2万8千件もありました。このうち、約17%の5千件近くが築10年以内の物件です。

 (注)カッコ書きは、こちら側が付け加えたものです。

 

感   想

 特にマンションの場合には、住宅ローン残高に加えて、管理費及び修繕積立金(管理費等)の滞納問題も現れてきます。滞納管理費等は、管理組合運営にとって、最重要課題であります。

 その理由は、次の2点にあります。

・管理費等の請求権は、最高裁判所の判例により、5年で時効消滅するということ

・理事会の役員は1年交代が多く、滞納管理費等の事務処理が現役員で解決できにくいことが多いこと

 そのため一昨年、岡管連主催による『マンション生活支援セミナーin岡山(秋講座)』では、滞納管理費等の防止及びその初期滞納対応について、マンション管理士による講演を行いました。なお、マンション管理センターからは、以下のマニュアルが発刊されています。

・「管理費等の徴収及び初期滞納対応マニュアル」

・「滞納管理費等の法的対応マニュアル」

| 2014年5月11日 | カテゴリー 滞納管理費等問題