法律のひろば

5 相手との解決に向けた管理組合の合意形成

  これで一件落着とはいかないのが、構成員が多数で多様な意見を持つ管理組合の特徴です(ちなみに、

 役員の方は、自身に責任があるためか、解決に向けて相手方に必要以上の譲歩をする傾向にあります)。

 すなわち、相手方と紛争解決のための合意をする前提として、総会決議が必要ですが、この種の事案で、

 いきなり総会に諮っても、各区分所有者に議案の持つ意味を正確に理解してもらうことは期待できない

 ので、総会に先行して区分所有者を対象とした説明会を開催します。

  説明会では、まず、調査報告書を作成した建築士に調査結果の説明をしてもらい、次に、ゼネコンから

 の謝罪(区分所有者に溜まった不満のガス抜きという意味合いが大きい。)と今後の対応の説明をしても

 らいます。その後、ゼネコン担当者には退出してもらい、私が法律的な説明をしますが、その際、区分所

 有者から「売買代金全額での買取りを要求する。」「1人当たり慰謝料として最低500万円は欲しい。」

 などといった、過剰な要求が出されます。これを捌いていくのが私の大きな仕事で、相手方との合意が成

 立しなければ、裁判をするしかないが、その場合には、買取りや高額な慰謝料などは認められることはな

 く、かえって裁判を起こすのに費用がかかってデメリットが大きいことを説明し、納得してもらうのです。

                    (著)弁護士法人札幌・石川法律事務所 弁護士 石川 和弘

| 2017年3月27日 | カテゴリー 法律のひろば 

3 不法行為による損害賠償請求

  不法行為に基づく損害賠償請求権は、完成・引渡し後20年を経過していない場合であって、かつ、瑕疵

 の存在を知ってから3年以内であれば、法律の規定により、権利行使が可能です。

  瑕疵の内容が「建物としての基本的安全性を損なう瑕疵」である場合であって、かつ、設計者、施工者ま

 たは工事監理者に注意義務違反があれば、損害賠償請求できることになります。

  管理組合役員としては、①共用部分の瑕疵が発見されたのが築後10年を経過した場合であっても、権利

 行使できる可能性があること(すぐに諦めないこと)、②その場合、権利行使の相手方は、瑕疵担保責任の

 追及の場合と異なり、売主たる分譲業者(デベロッパー)ではなく、施工者(ゼネコン)または設計・監理

 者であることを押さえておく必要があります。

4 建物瑕疵の存在の調査と確認

  -略―

                     (著)弁護士法人札幌・石川法律事務所 弁護士 石川 和弘

| 2017年3月25日 | カテゴリー 法律のひろば 

1 マンションの共用部分の欠陥の相談

  新築建物の売買契約に基づく瑕疵担保責任については、構造耐力上主要な部分に瑕疵がある場合、法律の

 規定によって、買主は売主に対し、引渡しから10年間、瑕疵担保責任の追及(修補請求または損害賠償請

 求)が可能ですが、10年を経過すると瑕疵担保責任の追及ができなくなります。責任を負わないとの分譲

 業者の回答は、道義的にはともかく、法律上は正しいのです。

2 最高裁平成19年7月6日判決の「瑕疵」とは

  建築瑕疵事案についての責任追及は、瑕疵担保責任以外に不法行為に基づく損害賠償請求によってなすこ

 とが可能な場合があります。

  最高裁平成19年7月6日判決は、建物の建築に携わる設計者、施工者および工事監理者は、建物の建築

 に当たり、契約関係にない居住者を含む建物利用者、隣人、通行人等に対する関係でも、当該建物に建物と

 しての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い、これを怠ったために建築され

 た建物に上記安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体または財産が侵害された場合に

 は、設計者等は、不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を

 買い受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負

 う、と判示したのである。そして、この事件は、福岡高等裁判所に差し戻され、再度の上告がなされたので

 すが、第2次上告審たる最高裁平成21年7月21日判決は、先ほどの平成19年判決のいう「建物として

 の基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命、身体または財産を危険にさらすような瑕疵をい

 い、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体または財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限ら

 ず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体または財産に対する危険が現

 実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する、と判示

 したのです。

                     (著)弁護士法人札幌・石川法律事務所 弁護士 石川 和弘

| 2017年3月23日 | カテゴリー 法律のひろば 

共用部分の「保存」と「管理」

2 具体的な判断基準

  以上、共用部分の「保存」と「管理」の意味について説明しましたが、その意味は、相対的で抽象的な

 ものであり、具体的にはどのような要素を勘案して共用部分の「保存」に当たるのか、「管理」に当たる

 のかを判断すればよいのでしょうか。

  先に説明したとおり、共用部分の「保存」に当たると解するためには、緊急を要する場合のほかに、比

 較的軽度の維持行為であることが必要となります。

  比較的軽度の維持行為であるか否かを判断するに当たり、一応の目安として、月々の管理費で賄える範

 囲内のものが保存行為に該当し、そうでないもの、すなわち、修繕積立金を取り崩す必要がある修繕や分

 担金を要する修繕は狭義の管理行為に該当する考え方があります。

  具体的な例示として、共用部分であるエレベーターの点検や階段室等の破損個所の小修繕行為は保存行

 為に属するが、共用部分の塗装工事等は狭義の管理に属するとしています。

  このような考え方を参考にして、先に紹介した判例を見てみますと、同裁判例において管理者たる理事

 長が締結した契約は、マンションの現状を調査して報告書にまとめ、それをもとに改修工事の設計を行い、

 施工会社の選定を行い、設計管理を行うとの内容のものですから、必ずしも緊急性を有するものとはいえ

 ず、また、比較的軽度の維持行為ともいえないものであることに照らすと、管理者の成し得る保存行為と

 はいえないものと考えられます。

  また、同裁判例で原告会社らがその業務を完了したとして被告マンション管理組合に請求した報奨金は

 144万2,700円であり、当該マンションの規模が明らかでないため断言はできないものの、月々の

 管理費で賄える範囲の修繕ではなかった可能性が高く、この点からも管理者の成し得る保存行為とはいえ

 ないものと考えられます。

                          (著)みどり法律事務所 弁護士 厚井 乃武夫

| 2017年1月27日 | カテゴリー 法律のひろば 

共用部分の「保存」と「管理」

1 「保存」および「管理」の意味

  一般に、「保存」とは共用部分等を維持すること(共用部分等の滅失・毀損を防止して現状の維持を図る

 こと。)であって、管理者の成し得る保存行為は、そのうち、緊急を要するか、または、比較的軽度の維持

 行為であると解されています。

  マンション管理組合の管理者である理事長は、共用部分の「保存」を行う権限があるため、管理者が締結

 する契約の内容が、共用部分の「保存」に該当するのであれば、管理者は、マンション管理組合の集会の決

 議を経ることなく、自らの権限で当該契約を締結することができることになります。

  これに対し、「管理」とは、共用部分の形状または効用を変えることをいい(これを「広義の管理」とい

 います。)、さらに、広義の管理は、①共用部分の形状または効用を確定的に変える「変更」と、②共用部

 分の形状または効用を変えるものの、これを確定的に変えるには至らない「狭義の管理」とに分かれます。

  ここで、「広義の管理」を、さらに、上記①の「変更」と②の「狭義の管理」に分けるのは、これらを行

 うためには、いずれについてもマンション管理組合の集会の決議が必要であることには変わりないものの、

 その決議要件が異なることによるものです。

  すなわち、共用部分の「変更」を行なうためには、マンション管理組合の集会において、区分所有者およ

 び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要であり、これに対し、共用部分の「狭義の管理」を行う

 ためには、マンション管理組合の集会において、区分所有者および議決権の各過半数による決議で足りるも

 のとされています。

  いずれにせよ、マンション管理組合の管理者である理事長は、共用部分の「保存」を行う権限があるのみ

 で「広義の管理」を行う権限はないため、管理者が締結する契約の内容が共用部分の「広義の管理」に該当

 するのであれば、管理者は、上述した決議要件に従ってマンション管理組合の集会の決議を経たうえで当該

 契約を締結しなければ、その契約はマンション管理組合に有効に帰属しないこととなります。

                           (著)みどり法律事務所 弁護士 厚井 乃武夫

| 2017年1月25日 | カテゴリー 法律のひろば 

1 事実の概要

  本件は、複合用途型マンション(1階~3階事務所、4階以上は居住)の区分所有者Xが、同マンション

 の区分所有者Yに対し、不当利得返還請求権に基づき、Yが同マンションの共用部分を第三者に賃貸して得

 た賃料のうちXの共有持分割合相当額の金員、およびこれに対する遅延損害金56万8千余円等の支払を求

 めた事案です。

  Yは、携帯電話会社Aとの間で自己の専有部分並びに共用部分である塔屋および外壁等をA社の携帯電話

 基地局とする目的で月28万余円で賃貸契約し、アンテナの制御機器等はYの専有部分に、アンテナの

 支柱、ケーブルの配管部分等は共用部分に設置され、共用部分の使用の対価に相当する部分は月12万余円

 でした。

  なお、本件マンションには、バルコニーについては各バルコニーに接する建物部分の区分所有者が、

 搭屋、外壁については事務所所有の区分所有者が、無償で使用することができ(本件規約9条1項、

 2項)、また、無償使用が認められる以外の共用部分の修理、保守、管理は、管理者において行なう

 (同12条1項)旨の本件規約の定めがありました。

2 裁判所の判断理由の比較と問題点の所在

  第一審では、

   ①共用部分の無償専用使用権限が認められる対象物に、本件携帯電話基地局設備が含まれるので不当利

    得は生じていないと判示しましたが、

  原審では、

   上記①を否定し不当利得は生じているとし、

   ②法19条に規定される共用部分の利益の帰属主体と、それを侵害された場合の請求主体は異なるとし

    て、

   ③法26条の規定が設けられている趣旨から、共用部分の管理については、団体規制に服するべきだと

    判断しました。

  これに対して、最高裁では、

   まず、原審同様に、上記①を否定し不当利得は生じているとし、

   ④共用部分についての不当利得返還請求権は、原則的には各区分所有者が行使できるのが相当であると

    した上で、規約や集会決議で団体のみが行使できる旨を定めることができ、この場合には各区分所有

    者は、その団体規制に拘束されるので請求できないとし、

   ⑤また、団体の執行機関として管理者の定めがある場合には、管理者がその請求主体であるとします。

  本件については、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させること

 ができる旨の定め(本件規約12条、9条)があるとして、各区分所有者の請求を棄却しています。

                            (著)創価大学法科大学院 教授 花房 博文

(岡管連から)

 参考として、不当利得返還請求に関して、標準管理規約第67条第3項を添付いたします。

第67条(理事長の勧告及び指示等)

3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等

 以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、

 次の措置を講ずることができる。

 一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他

  法的措置を追行すること

 二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分

  所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること

| 2017年1月23日 | カテゴリー 法律のひろば 

総会決議無効確認請求事件:福岡地裁小倉支部平成28年1月18日

 本件は、区分所有者X(原告)が、本件マンション管理組合Y(被告)が、平成22年の総会で、修繕積立金の一部を取り崩して返金するために可決した「居住年数に応じて修繕費取り崩しの一部を特例として返金する」決議の有効性を争い、無効が確定した(福岡地裁小倉支判平成25年2月15日)後、Yが再び、平成26年の総会で、前記決議に基づき実施された返金を追認する決議を行ったため、同決議の無効確認を求めた事案です。

 争点は、専有部分の大小を同一に捉え、月額返金基準額を、昭和62年3月から平成22年4月の期間に居住した年数(相続承継のみ居住期間を加算できる)に乗じた配分基準の有効性と、無効な決議を追認する決議の法的意味に関するものでした。

コメント

 本判決では、同配分基準は、法30条3項に反して、区分所有者間の利害の衡平を著しく害し、居住期間の長い区分所有者に対して負担以上に配分・返金を受けさせる結果となる。

 また、平成26年決議は、無効な平成22年決議等を改めて追認したものに過ぎず、「取り崩し修繕積立金を居住査定期間に応じて配分・返金することは、区分所有者間の利害の公平を著しく害する不合理な結果をもたらす平成26年決議は、全体として無効であることに帰する。」として、本判決は、単に配分方法が公平でないとの判断ですが、配分・返金を目的とする決議全体を無効扱いされている点は重要です。

 私的自治の原則のもとで修繕積立金の安易な取り崩し・配分・返金は、当該マンションの、後の維持管理を大変危険な状態に至らしかねない問題ですので、権利能力なき社団たる管理組合が存続する限りは、予めその清算方法が規約等に定められる等の特段の事情のない限り、団体が総有的に保有する資産として取り扱われる(最判平成15年4月11日)性質のものですから団体財産の一部清算的処分として捉えるならば、その旨の規約変更においても、その趣旨が十分に配慮された合理性が求められる客観的事由が必要かと思われます。

                         (著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文

(岡管連から)

 修繕積立金等の清算については、標準管理規約では、建物等が存在しなくなり、マンション管理組合自体の法的根拠を失った場合、清算手続きができるようになっています。

 上記以外の事由で、修繕積立金の一部を取り崩し、その取り崩し額を組合員には返金することはできない。

| 2016年8月29日 | カテゴリー 法律のひろば 

シェアハウス使用禁止請求事件:東京地判平成27年9月18日

 本件は、マンション管理組合理事長兼管理者X(原告)が、区分所有者Y(被告)に対して、Yが、Yが所有する居室の玄関、便所、洗面所、浴室および台所を除く専有部分、僅か30㎡部分を床面積各2畳程度の10区画に間仕切りしてシェアハウスを設置して、多数の者を居住させていることが、本件マンションの管理規約に違反し、法6条の共同利益背反行為に当たるとして、本件管理規約及び法57条1項に基づき、上記行為の禁止および間仕切りの撤去等が認められた事案です。本件判決の法的根拠の判断が注目されます。

コメント

 本判決は、全く見知らぬ同士を含む最大10名の者が、多くは窓もない僅か2畳程度のスペースで寝起きするという使用態様は、本件管理規約12条にいう「住宅」用途の使用には当たらないとしてYの用途違反に基づき、シェアハウスの使用差止を認めましたが、本判決は、併せて具体的にいかなる使用態様をもって使用差止めとなる状況に該当するかは一義的に明確ではない点も指摘して分析しています。

 まず、玄関等を除いた部分の床面積が30㎡程度にとどまる本件建物に、寝室その他の個室として用いることができる区画部分数が3を超えることとなる間仕切りを設置し、複数の契約者らに使用させる場合には、常に本件管理規約12条違反というべき使用態様に当たるとする。

 他方、重複使用契約や一つの使用契約に基づき、親族でない者を含む3名を超える使用者を追加または変更をする場合であっても、「入居者らが一つの共同体として継続的に共同生活を営む関係にあり、その者らの生活の本拠として使用される限りは、本件管理規約12条にいう「住居」として想定される使用態様を逸脱しないこともあり得る」から、直ちに本件管理規約12条違反というべき使用態様に当たるとはいえないと判示しています。本判決では住居性の劣悪さが指摘されていますが、実質的に一つの生活共同体が継続的な生活拠点としているかの住居性が、判断基準に加味される点も注目すべき点といえるでしょう。

                         (著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文

(岡管連から)

 シェアハウスを行おうとする場合、専有部分を間仕切りで区切る必要が出てきます。その場合、専有部分の工事が伴うことになります。

 標準管理規約では『専有部分の修繕等』に関して、申請者(区分所有者)は、添付書類を付した承認申請書を理事長に提出するようになっています。

 また、専有部分の修繕等に関する細則を制定していれば、当該細則規定で、法令等に違反するような工事は、承認申請を不承認とすることもできます。

| 2016年8月27日 | カテゴリー 法律のひろば 

不当利得返還請求:最判平成27年9月18日

 本件は、マンションの区分所有者の一人が、同マンションの共用部分を携帯電話基地局として第三者に賃貸して得た賃料収益のうち、自己の共有持分割合相当額の56万8,000円余りの返還を請求しましたが、原審の結論を是認して、上告審である本判決でも、共有部分の管理に関しては、個々の区分所有者が個別に共有持分権に応じた権利行使をすると、他の区分所有者の利害に重大な影響を及ぼすことがあるために団体的規制に服するものとして、規約によって団体行使が規定される場合には、個別行使は認められないとして、上告が棄却されました。

コメント

 本件は区分所有者の団体が、一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち、各区分所有者の持分割合に相当する部分について生じる不当利得返還請求権を区分所有者の団体のみが行使することができる旨を集会で決議し、または、規約で定めた場合には、各区分所有者は、上記請求権を行使することができない。

 区分所有建物の管理規約に、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用されることができる旨の定めがあるときは、この定めは、一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち、他の区分所有者の持分割合に相当する部分につき生じる不当利得返還請求権を他の区分所有者が行使することができる旨を含むものと解すべきであり、当該他の区分所有者は上記請求権を行使することができない、との解釈が注目されます。

                         (著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文

(岡管連から)

 共有部分に基地局を設置する場合は、その設置は共用部分の変更にあたり、総会での特別決議が必要である。

 その後、基地局設置に伴う管理組合と設置会社との契約を締結することになり、当該賃料は、管理組合に振り込まれることになります。

 当該賃料は、基本的には修繕積立金に積み立てられるのが一般的です。

 なお、管理組合としては、当該賃料は「みなし法人税」に該当するため、その会計処理は、適切に行っておくことが求められます。

| 2016年8月25日 | カテゴリー 法律のひろば 

報酬請求請求:東京地判平成27年7月8日

 本件は、マンション管理組合(被告)の理事長が、共用部分の管理に係る事項にも拘わらず、契約締結時に集会決議を開かずに建物診断を行う設計会社と同事業協同組合(原告等)と建物診断に関する契約を結び、診断調査が行われて診断報告書も作成されました。

 その後、被告の臨時総会が開かれ、原告等の本件契約を白紙撤回することが賛成多数で承認されて、報酬を支払われないので、原告は、被告に対して本件委託業務に基づく報酬を請求しましたが、原告等の請求はいずれも棄却されました。

コメント

 本件では、管理組合の代表理事の当該契約行為が、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律77条4項、5項の類推適用により、被告が報酬支払義務を負うのか、民法110条により被告が負うのか、が主たる争点となりましたが、前者については、建物の調査診断に関する本契約は、共用部分の管理にかかる事項に該当し集会の決議が必要であるが、本契約締結時に集会の決議は行われておらず、区分所有者の管理者である理事長は、管理組合の包括代理権を有しているものではないので本契約を締結する権限を有しているものではないから、管理組合は本契約に基づく報酬支払義務を負わないとされました。

 また、後者については、契約の受託者である建物調査診断業務を行う会社は、理事長や理事等に集会の決議について確認もとらずに契約に至っているのであるから、本契約締結について集会の決議がなく理事長が権限を欠いていることを知らなかったことに過失があり、管理組合は報酬支払義務を負わない、とされています。

                         (著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文

(岡管連から)

 この案件は、原告等側の専門家責任が問われたものであり、当然の判決です。

 主な理由は、以下の3点です。

・理事長の(無権)代理権の確認

・専門家としての過失責任

・理事会での説明責任

| 2016年8月23日 | カテゴリー 法律のひろば 

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