青田売りの弊害に注意/朝日新聞朝刊15・12・17

 施工トラブルの背景にあるのは工期や工費の不足です。

 これはいわゆる『青田売り』から生まれる弊害といえます。

 青田売りは日本特有の新築マンションの販売方法です。

 売り手は物件の完成前に引き渡し日と価格を決めて分譲し、建設に約1~2年かける。

 仮にトラブルが起きても工期は延ばせません。

 建設コストが想定を上回ると現場にしわ寄せが行き、それがミスや不正のきっかけとなるのは想像に難しくありません。

 欧米では、建設の骨組みが完成して後は内装や設備を入れるだけという状態で売るのが主流です。

 『スケルトン売り』といい、着工後の価格調整や工期延長も融通が利きやすい。

 日本でスケルトン売りを見かけないのは、青田売りにメリットがあるからです。

 売り手側は、契約時点で手付金が支払われて購入者も決まるので安心。

 新築物件を次々に建てるには資金を確保することが重要なのです。

 買い手側にとっても、契約から引き渡しまで1~2年あるので資金計画に余裕ができます。

 では、買い手は安全性をどう見極めればよいのでしょうか。

 現実的なのは、建設途中や完成時に行う第三者による検査をより厳しくすることです。

 ただ、厳しい検査には建設費の1~2%が必要とされます。

 もし売り手が検査を取り入れるなら、物件の価格が今より数10万円レベルで高くなる可能性もあります。

 今の日本は『安くていいもの』を求めがちなデフレ体質があるので、負担増を消費者が受け入れられるかが問われます。

 本当に安心できる住まいを求めるのであれば、消費者側の考え方も少し変える必要があるのかもしれません。

                                 住宅ジャーナリスト 櫻井 幸雄

(岡管連から)

 『青田売り』については売り手側の論理であり、マンション販売の商慣習化している実態があります。

 マンションは『居住用の共同住宅』であり、マンション購入後の建物等の維持管理等については、売り手側は全くといってよいほど考えていないことに問題があります。

 売ってしまえば買い手側の問題であり、建物等に何かあった場合には売り手側は、買い手側の不特定多数の集まりである管理組合を基本的には相手をすればよいと考えている。

 売り手側は販売促進のため、管理費等を低く抑えその補てんとして、駐車場使用料を繰り入れたり、修繕積立一時金(3年分から5年分程度)を売買時の徴収金の条件としているところが多い。