マンションの長命化と大規模修繕工事/マン管通信7月号より

【外壁改修工事の内容とポイント】

 

  外壁コンクリート躯体、仕上げ材の劣化部分の改修が主体となる。

1 コンクリート躯体改修

  劣化現象としては、ひび割れ、欠損、鉄筋腐食と露出現象が挙げられる。特に、

 ひび割れは一般的な劣化現象で、その原因はコンクリートの乾燥収縮、温度変化

 による膨張伸縮、地震時の応力集中等であるが、躯体不具合の改修法では、以下

 のような工法がある。

 ① ひび割れ

   フィラー処理(注1)、Uカット処理(注2)があるが、構造耐力上補強を要

  するものは、エポキシ樹脂注入工法で躯体との一体化を図る。

 ② コンクリートの欠損・鉄筋腐食と露出現象

   欠損は鉄筋発錆による押出し、地震時の変形等により発生する。特に鉄筋露出

  現象は、コンクリートの鉄筋に対するかぶり厚不足により発生するもの。劣化部

  分を除去しアルカリ付与剤を塗布浸透させた上で、ポリマーセメントモルタル等

  で修復する。

   (注1)ひび割れの中にフィラー(微弾性下地調整剤)を充填すること。

   (注2)ひび割れ部分をU字型にカットして、弾性シーリング材などを充填する

       こと。

2 タイル仕上げ改修

  劣化現象としては、タイルにひび割れ・浮き、剥がれ等がある。外壁がタイル

 仕上げのものは、現在、法律に定める『特殊建築物定期検査』で、新築時(又は

 改修時)より10年を経たものは、最初の調査の際に『全面打診』等が義務付け

 られている。タイルの浮き等は経年劣化によるものと、建設時の施工に問題があ

 るものがある。改修法は以下の内容である。

 ① 不具合・劣化箇所のタイルの張替え

   修繕方法としては、基本的には張替えが望まれるが、このためタイルは新たに

  釜焼きが必要となる。また、目地のモルタルの色調にも注意が必要。

 ② タイルのひび割れ

   下地コンクリート(又はモルタル)のひび割れに起因するものが多く、タイル

  は剥がし、コンクリート躯体のひび割れを補修後、タイル張替えとなる。

 ③ 張替え以外の工法

   一般的にはタイル浮き箇所の目地の交点を穿孔し、浮きの空隙にエポキシ樹脂

  を充填し、ステンレスピンを挿入するピン注入工法や、エポキシ樹脂を注入する

  アンカーピン注入工法等が採用される。

3 塗装仕上げ改修

  外壁に用いられる塗料(外壁塗料)は、コンクリート躯体の保護と、建物美観の

 保持の二つの役割がある。塗材の変化は、自然現象の影響による退色、汚れや剥が

 れ、れとして現れる。一般的に外壁の塗替えは、既存塗膜の上に新たな塗材を塗

 り重ねる工法で、この際に既存塗膜の付着強度が問題となる。一定の強度があれば

 重ね塗り、ない場合は脆弱塗膜を除去し塗替えとなる。外壁塗材の改修は、以下の

 手順で行われる。

 ① 汚れ、脆弱塗膜の除去

   一定圧力の高圧水洗浄機により壁面を洗浄、塗膜除去を行う。

 ② 下地調整剤+主材

   近年では既存塗膜の付着性、下地調整の省力化、仕上層(トップコート)の

  選択などから、『微弾性下地調整材』が下塗を兼ねた主材として採用するも

  のが多い。

 ③ 仕上げ塗料(トップコート)

   塗材の色彩や光沢の度合いは、塗材の表層に施されるトップコートにより決

  めらるが、塗料を構成する樹脂成分により様々な種類のものがある。コスト

  バランスとの観点から検討する。