コミュニティがつくるマンションの価値(2)/マン管通信2017・8

マンションの価値とは?

 マンション管理の現場では資産価値を守ることが大事なミッションとなります。では、マンションの資産価値とは立地場所や建物の築年数、広さ、維持管理状況といった「もの」としての不動産価値で全てが決まってしまうのでしょうか。大切なマンションがこのような市場原理によって評価されてしまうならば、マンションの価値は経年とともに低下し、必然的に空き家化も進行していくでしょう。

 しかし、市場原理では評価できない大切な価値がマンションにはあります。とりわけ高経年のマンションでは、長年の居住で人々のつながりが醸成され、様々な人材が育っています。潜在するコミュニティ力を発掘し活用すれば、十分に豊かな住生活を過ごせるマンションに再生できる可能性があるのです。

 つまり、マンションの価値を維持していくためには、何よりもコミュニティ力を大切に醸成していき、不動産の価値が「もの」としてではなく、時間の蓄積で得られた「暮らしの価値」として評価されていくことが大切です。そのためには、日常のマンション管理において「場づくり」「人づくり」「仕組みづくり」に心がけて取り組んでいくことが必要となるでしょう。

 「場づくり」とは、コミュニティを醸成するマンションの施設を活用して共有意識や帰属意識を高めていくことです。小規模マンションでは集会室すらないところも多いのですが、最近では受水槽給水方式を直圧給水方式に変更したことで受水槽室が不要となり、これを集会室に転用している事例も見られます。

 「人づくり」とは、多様な人材を活用して寛容の精神を大切にしながらコミュニティ力を守り育てていくことです。

 そして「仕組みづくり」では、「場」と「人」とが出会うドラマをつくりだし、生活文化を継承していくことです。

 これらが相互に作用していくことで「暮らしの価値」が時間と共に増大し、お金では換えられない大切な価値を共有することができるのです。

(著)京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 教授 鈴木 克彦

2017年9月09日 | カテゴリー コミュニティ