続マンション漂流①明日がみえますか/毎日新聞4・20 - NPO法人岡山県マンション管理組合連合会

続マンション漂流①明日がみえますか/毎日新聞4・20

つけこむコンサル 修繕費+リベート=積立金

 信頼は失望に変わった。約2年前、初の大規模修繕を控えた埼玉県の高層マンション。「コンサルタントが管理組合に示した工事の概算額は、住民がためた修繕積立金とほぼ同じ4億円だった。「積立金を使い切ろうとしているのでは」。修繕委員長の40歳代の男性は不信感を覚えた。

 談合ではないのか。管理組合で話し合い、「別の業者からも見積もりを取る」とコンサルに告げた。応募条件ではじかれた旧知の地元業者と比べるためだ。すると、コンサルから内容証明郵便が届いた。「当社の関与なく施工業者を選定するなら、今後の業務は辞退させていただく」。

 別のコンサルが教えてくれた。「逃げたのはリベートをとれなくなるから。倍近い規模のマンションでも3億円余りでできた」。修繕委員たちは顔を見合わせた。「いくらリベートを取るつもりだったんだ」。コンサルを代え、来年に実施予定の大規模修繕は約2億円で済みそうだという

 悪質なコンサルを避ける方策はあるのか。NPO法人「近畿マンション管理者協会」(大阪市)の増永久仁部会長は「コンサル料金だけでなく、全体の概算工事費も聞くこと」と助言する。リベートを取らないと宣言する東京のコンサル会社「シーアイビー」の須藤桂一社長は「コンサルには設計や監理だけを任せ、業者は管理組合が選べばリベートの意味が薄れる」と話す。

 管理会社の売り込みを断った大阪府の中規模マンションでは今春、修繕工事が始まった。業者はリベート要求を断った。理事長の女性は自戒を込めて言う。「管理会社任せにした私たちも悪かった。悪質業者を見抜く目を持たなければ」。

 建物の老朽化と住民の高齢化などが原因で、各地で噴出するマンション問題。

 *岡管連では、建物の老朽化と住民の高齢化が同時に現れる現象を、『マンションの二つの老い』と呼ぶ。

悪質なコンサルタントを避けるには

♦概算の工事費も含めて他社と比べる

♦設計や監理だけを依頼し、業者選びは住民指導で

♦管理会社や設計事務所が協力していないセミナーにも参加する

2017年5月11日 | カテゴリー 管理組合運営