第3回 マンション標準管理規約改正の解説(1)/マン管通信2017・2

9 修繕

(1)大規模修繕等にかかる情報の閲覧

   今回の改正では、理事長は、組合員または利害関係人の理由を付した書面または電磁的方法による閲覧

  請求があったときは、これらの書類を帳票類と同様に閲覧させなければならないとしました(64条2

  項)。

   また、書類の閲覧に代えて、「書面の交付または電磁的方法による情報提供」の方法を採ることも可能

  とされています。そして、これらの書面は、優良なマンションの管理が行われていることによる市場での

  評価の高まりや、そのような評価を通じて管理の適正化が促されることが想定されることから、「書面交

  付の対象者に住戸の購入予定者を含めて規定することも考えられる」としているところです(コメント6

  4条関係⑥)。この取扱いを採用すれば、これからマンションの住戸を購入する者も、大規模修繕工事の

  実施状況や予定、修繕積立金の積立て状況などの情報を得ることができることになります。

(2)専有部分の承前の際の手続き

   今回の改正では、専有部分の修繕等を3つに分け、それぞれの手続きを整理し、理事長の承認を要する

  工事の具体例などについても示しているところです。

   なお、理事長の承認が求められるケースでは、理事長の承認または不承認は、理事会の決議により決定

  しなければなりません(17条3項、54条1項5号)が、この場合の理事会決議は理事の過半数の承諾

  があるときは、書面または電磁的方法によることができるとされています(53条2項)。

   また、理事長が承認をしたからといって、その承認により、修繕等の工事の結果共用部分や他の専有部

  分に生じた事後的な影響について、当該工事を発注した区分所有者の責任や負担が免除されるわけではあ

  りません。そこで、修繕工事の後にその工事により共用部分や他の専有部分に影響が生じた場合は、当該

  工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならないことが、確認的に規定

  されました(17条6項、コメント同条関係⑪)。

(3)防犯、防音、断熱等のために実施する窓枠等共用部分の修繕工事

   今回の改正では、まずは計画修繕としての実施を検討するという大原則は踏まえつつも、それができな

  い場合は、細則を定めることを前提とすることなく、区分所有者は専有部分の修繕と同様の手続きで実施

  ができるものとし(22条3項)、かつ、その承認申請の対象範囲や承認の可否の際に検討すべき事項等

  の考え方が、「別添2」として示されました。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

2017年3月09日 | カテゴリー 管理基礎講座