マンションの民主主義(2)/朝日新聞朝刊15・12・10

【難しい合意形成】

 マンションで問題や課題が生じた際は、住民の一人ひとりがコミュニティーの一員として意思決定に参画する仕組みになっています。

 ただ、この民主主義を成立させることは簡単ではありません。

 マンションを購入する人の中には「一戸建てのような近所づきあいに束縛されずに生活したい」とプライバシーを重視し、コミュニティーの活動には無関心な人がいます。

 そんな住民の割合が多いと、重要な議案を総会で決めたくても参加が得られず、定足数に満たないため、総会が成立しなくなる。

 参加を拒まれれば民主主義は崩壊してしまいます。

 さらにマンションにも高齢化の波が押し寄せています。

 最近では「終のすみか」としてマンションに住み続けるスタイルが都心部で広がってきています。

 管理会社の知人に聞くと、懸念されるには、一部の高齢者の間に「自分の代だけで住めればいい」という発想の下、大規模修繕などの費用負担を少なくしようとするそうです。

 もし住民同士の対立が深刻化し、大規模修繕などの課題で合意形成が難しくなれば、マンションは機能不全に陥ります。

 その結果、「ここに住む続ければ資産は劣化するばかりだ」と感じた、

 意識の高い人から売却して脱出する動きが加速しかねません。

 その先に待ち受けているのはマンションのスラム化です。

                                 不動産コンサルタント 牧野 知弘