監事の役割と監査手続/マン管通信10月号

【管理組合の監事の役割】

 管理組合の監事監査は、マンション標準管理規約第41条に基づき行われます。

 また、その監査対象は、理事の業務執行の状況(業務監査)と財産及び収支の状況(会計監査)であり、理事の業務執行の適法性及び妥当性、並びに、財産及び収支の状況を表す会計報告書の適正性に関する意見を監査報告書に記載して、管理組合の代表者である理事長に提出する一方、総会においても報告することが必要です。

・マンション標準管理規約第41条

 第1項 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に

     報告しなければならない。

 第2項 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認める

     ときは、臨時総会を招集することができる。

 第3項 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。

・マンション標準管理規約第59条

 第1項 理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に

     報告し、その承認を得なければならない。

【 監査手続き 】

1 業務監査

  業務監査の目的は、理事の行う業務について、法令や規約等に著しく違反してい

 いか、職務執行に関して不正が行われていないかどうかを確かめることにあります。

  このため、主な監査手続きとしては、理事会に出席し、理事会の運営が適正に行わ

 れているかどうかを検討し、疑問点があれば理事に質問する、あるいは欠席した場合

 でも、事後、理事会の議事録や配布資料を閲覧し、決議事項や審議事項に疑問点がな

 いかや意思決定プロセスに不適切な点がないか検討することなどが挙げられます。

2 会計監査

  管理組合の監査手続きとして強制力のある定まったものはありません。

  現代の監査はその監査対象の取引のすべてを確かめる(精査)のではなく、時間的・

 物理的制約の中で、一部の取引を何らかの基準に基づき抽出して確かめる(試査)方法

 を採用しており、不正・誤謬の発生する可能性が高いと見込まれる範囲に重点をおいて

 監査手続きを実施する『リスク・アプローチ』という考え方に基づいています。

  加えて、不正・誤謬のすべてを発見することを目的に行うのではなく、財務諸表の利

 用者の意思決定を誤らせるような重要な不正・誤謬が生じていないかを確かめることを

 目的としています。

 管理組合の監事監査についても、この考え方に基づき、効率よく、かつ重大な不正・

 誤謬を見逃さないよう監査手続きを実施することが肝要と思われます。

                  (著)公認会計士・税理士 吉岡 順子先生