管理費や修繕積立金の滞納(3)/中央公論2017・4

 これまでは、こうした状況に至れば、マンションは比較的「売りやすい」から売ればよいというように考えられてきた。ところが高齢者になれば病などをかかえてなかなか引っ越しもままならない。さらに郊外の老朽化したマンションを中心に売却しようにも買い手がいない物件が続出しているのだ。首都圏郊外でも最近は中古の売り出し価格が戸あたりで「くるま1台」分ほどの価格になっている物件も珍しくなくなっている。

 管理費や修繕積立金の未納が多くなると当然、必要な管理や大規模修繕が行われなくなる。管理の内容や建物の老朽化を嫌気した住民が逃げ出す。マンション価格が落ち込むことで住民層も変わり、不逞の輩が棲みつくようになる。空き住戸が増えることでマンション内の治安が悪くなる。必要な修繕が行われない結果、防災上も問題が生じ始める。マンション全体のスラム化である。スラム化したマンションの存在は当然にして地域の環境や治安、防災に大きな影響を及ぼすことになる。

 マンションの空き住戸問題は一見すると戸建て住宅のように「目に見える」ことは少ないのだが、マンションという建物内で深く静かに進行し、やがて建物全体で大きな問題が露見してくる。そして本来であれば健全に生活を営んでいた同じマンションの住民を追い出し、その所有者にも経済的実損を負わせることにつながる実に厄介な問題を内包しているのだ。

(岡管連から)

 マンションの管理に無関心であればあるほど、『スラム化への道』がますます早まることにつながる。

                             (著)オラガ総研株式会社 代表 牧野知弘

2017年6月23日 | カテゴリー 滞納管理費等問題