平成27年のマンション関連判例を概観する(7)/マン管通信2016・7

シェアハウス使用禁止請求事件:東京地判平成27年9月18日

 本件は、マンション管理組合理事長兼管理者X(原告)が、区分所有者Y(被告)に対して、Yが、Yが所有する居室の玄関、便所、洗面所、浴室および台所を除く専有部分、僅か30㎡部分を床面積各2畳程度の10区画に間仕切りしてシェアハウスを設置して、多数の者を居住させていることが、本件マンションの管理規約に違反し、法6条の共同利益背反行為に当たるとして、本件管理規約及び法57条1項に基づき、上記行為の禁止および間仕切りの撤去等が認められた事案です。本件判決の法的根拠の判断が注目されます。

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 本判決は、全く見知らぬ同士を含む最大10名の者が、多くは窓もない僅か2畳程度のスペースで寝起きするという使用態様は、本件管理規約12条にいう「住宅」用途の使用には当たらないとしてYの用途違反に基づき、シェアハウスの使用差止を認めましたが、本判決は、併せて具体的にいかなる使用態様をもって使用差止めとなる状況に該当するかは一義的に明確ではない点も指摘して分析しています。

 まず、玄関等を除いた部分の床面積が30㎡程度にとどまる本件建物に、寝室その他の個室として用いることができる区画部分数が3を超えることとなる間仕切りを設置し、複数の契約者らに使用させる場合には、常に本件管理規約12条違反というべき使用態様に当たるとする。

 他方、重複使用契約や一つの使用契約に基づき、親族でない者を含む3名を超える使用者を追加または変更をする場合であっても、「入居者らが一つの共同体として継続的に共同生活を営む関係にあり、その者らの生活の本拠として使用される限りは、本件管理規約12条にいう「住居」として想定される使用態様を逸脱しないこともあり得る」から、直ちに本件管理規約12条違反というべき使用態様に当たるとはいえないと判示しています。本判決では住居性の劣悪さが指摘されていますが、実質的に一つの生活共同体が継続的な生活拠点としているかの住居性が、判断基準に加味される点も注目すべき点といえるでしょう。

                         (著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文

(岡管連から)

 シェアハウスを行おうとする場合、専有部分を間仕切りで区切る必要が出てきます。その場合、専有部分の工事が伴うことになります。

 標準管理規約では『専有部分の修繕等』に関して、申請者(区分所有者)は、添付書類を付した承認申請書を理事長に提出するようになっています。

 また、専有部分の修繕等に関する細則を制定していれば、当該細則規定で、法令等に違反するような工事は、承認申請を不承認とすることもできます。

2016年8月27日 | カテゴリー 法律のひろば