平成27年のマンション関連判例を概観する(5)/マン管通信2016・7

報酬請求請求:東京地判平成27年7月8日

 本件は、マンション管理組合(被告)の理事長が、共用部分の管理に係る事項にも拘わらず、契約締結時に集会決議を開かずに建物診断を行う設計会社と同事業協同組合(原告等)と建物診断に関する契約を結び、診断調査が行われて診断報告書も作成されました。

 その後、被告の臨時総会が開かれ、原告等の本件契約を白紙撤回することが賛成多数で承認されて、報酬を支払われないので、原告は、被告に対して本件委託業務に基づく報酬を請求しましたが、原告等の請求はいずれも棄却されました。

コメント

 本件では、管理組合の代表理事の当該契約行為が、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律77条4項、5項の類推適用により、被告が報酬支払義務を負うのか、民法110条により被告が負うのか、が主たる争点となりましたが、前者については、建物の調査診断に関する本契約は、共用部分の管理にかかる事項に該当し集会の決議が必要であるが、本契約締結時に集会の決議は行われておらず、区分所有者の管理者である理事長は、管理組合の包括代理権を有しているものではないので本契約を締結する権限を有しているものではないから、管理組合は本契約に基づく報酬支払義務を負わないとされました。

 また、後者については、契約の受託者である建物調査診断業務を行う会社は、理事長や理事等に集会の決議について確認もとらずに契約に至っているのであるから、本契約締結について集会の決議がなく理事長が権限を欠いていることを知らなかったことに過失があり、管理組合は報酬支払義務を負わない、とされています。

                         (著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文

(岡管連から)

 この案件は、原告等側の専門家責任が問われたものであり、当然の判決です。

 主な理由は、以下の3点です。

・理事長の(無権)代理権の確認

・専門家としての過失責任

・理事会での説明責任

2016年8月23日 | カテゴリー 法律のひろば