あなたのマンション大丈夫(3)/週刊現代9・16

建て替えの「天国」と「地獄」

高齢者の住民が反対する

 これが、建て替えに失敗したマンションの末路だ。自分とは関係ない「特殊な事例」だととらえる向きも多いかもしれない。しかし実は、限界マンションの「予備軍」となっている物件は、そこかしこにある。

 杉並区にある7階建てのマンション。最寄り駅からは徒歩7分、50戸が入る物件だ。築42年と、建て替えを考慮すべき時期だが、検討はまったく進んでいない。

 こうして建て替えが遅々として進まない中、転出者が増えると、「限界マンション化」が進んでいくことになる。まさに負のスパイラルだ。

 とくに高齢者が多くなれば、当然建て替えは遠のく。マンション管理士の日下部理絵氏は言う。「築30年以上が経過した建て替えが必要な物件には、高齢の住民が多い。そういう方は老朽化していても慣れて居心地のいい部屋に住み続けたい。私も修繕か建て替えかの判断の手伝いに入って『そっとしておいてください』と言われたこともある。年金で生活をしている人は、なんとか住宅ローンを返し終え、月数万の管理費等を年金でやりくりしている場合が多い。そうした方にそれ以上の負担は厳しい」

 若い人が多くても、人間関係がこじれて、建て替えに失敗するケースも少なくない。新日鉄興和不動産の常務執行役員・松本久長氏が言う。

 多数の集団の意思を一つにまとめるのは本当に難しい。人間関係のもつれの中で、建て替え話が止まってしまうこともあります。ある物件では、建て替え推進派と反対派に分かれてしまい、一度建て替えが頓挫した。その後、反対派がもう一度、建て替え話を始めたのですが、今度は前回の推進派が強硬に反対して、話が立ち消えになりました。だからこそ、事業者が住民の意見を聞いて解決策を探る作業も大切です。

岡管連から

 『限界マンション化』が進むと、『マンションのスラム化』が早まります。それは、次の要因が大きく寄与しているからです。

1 高齢者や無関心層等の増加により、総会が多数決による意思決定ができない。

2 そのため、管理運営に支障をきたし、マンションの維持管理が難しくなる。

3 さらに、維持管理ができないマンションは、マンションを売却できず、安く賃貸化する。

4 安く賃貸化しても借り手がいなければ、管理費等の滞納を助長するおそれがある。

5 マンションがそのような状況に置かれると、将来、相続が起きた場合、誰も引き受け手がいない。

これが『マンションの末路』であろう。

2017年9月19日 | カテゴリー 建替え